遺言を公正証書で作成する場合の費用を徹底解説!知多半島の遺言作成

遺言書のつくり方

公正証書で遺言書をつくるには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。

この記事では、公正証書遺言の作成にかかる費用を徹底的に解説します。計算の例もありますので、ぜひ参考としてみてください。

公正証書遺言作成とは

公正証書遺言とは、公証人の協力を得て作成する遺言書のことです。

通常時に使用する遺言の方式には、この公正証書遺言のほか、全文自筆で作成する自筆証書遺言と、自分で作成をした遺言を封に入れた状態で公証役場へ提出する秘密証書遺言の3つが存在します。

このうち、秘密証書遺言はほとどんど利用されていませんので、実質的には公正証書遺言と自筆証書遺言の二択となるでしょう。

自筆証書遺言と公正証書遺言はどちらが多い?

自筆証書遺言の作成件数自体は不明ですが、令和元年における自筆証書遺言を相続手続きに使う際に必須となる検認件数は1万8,625件です。これは、裁判所の司法統計で公表されています。

一方、公正証書遺言の作成件数は令和元年で11万3,137件、令和2年は新型コロナの影響か少し減少して9万7,700件でした。これは、公証人連合会より公表されています。

自筆証書遺言は作成件数ではなく検認件数なので単純な比較はできませんが、公正証書遺言は自筆証書遺言の約6倍も利用されていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

なんとなく自筆証書遺言の方が多いと感じている方も多いかと思いますが、実は公正証書遺言の方が圧倒的に利用されているのです。

もしかすると、せっかく作った自筆証書遺言が握りつぶされてしまったり無視されてしまったりして、件数に反映されていないだけかもしれませんが・・。

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言と自筆証書遺言のどちらが良いかと問われれば、私は間違いなく公正証書遺言をおすすめします。なぜなら、相続が起きてから問題になる可能性が、公正証書遺言の方が圧倒的に低いためです。

では、公正証書遺言のメリットについて具体的に見ていきましょう。

要件不備で無効になるリスクが低い

公正証書遺言は、要件を満たせずせっかく作成した遺言が無効になるリスクが低いと言えます。

例えば、自筆証書遺言であれば日付を自書する必要があるところ、「令和3年6月吉日」などと特定できない日付を書いてしまい無効になってしまうケースは少なくありません。

一方公正証書遺言は、このように要件を満たせず無効となるリスクが限りなくゼロに近いと言えます。

書き方があいまいで手続きできくなる可能性が低い

公正証書遺言は、書き方があいまいで実現できないリスクもかなり低いと言えます。この点も、公正証書遺言のメリットの1つです。

自筆証書遺言の場合、たとえ法律に書かれた要件を満たしていたとしても、遺言の表記があいまいで実現できない場合があります。

例えば、次のような遺言で考えてみましょう。

「私のお金はすべて花子に託す。 令和3年6月20日 なごみ太郎 ㊞」

全文自書、日付、氏名の記載、捺印など自筆証書遺言の要件は満たしているものの、この遺言には問題があるため、その実現は困難と言えます。

この遺言の主な問題点は、次のとおりです。

  • 「花子」とはどこの花子さんのことを指すのか分からない
  • 「お金」とは現金のこと。預金は「お金」に含まれないと解釈される可能性が高い
  • 「託す」とはどういう意味か不明瞭。

公正証書遺言であれば、文章自体は最終的には公証人が作成しますので、このようなあいまいな遺言書を作成してしまうリスクは低いと言えます。

本人の遺言能力が疑われて無効になる可能性が低い

遺言書の内容に問題がなかったとしても、その遺言の内容に納得がいかない他の相続人などから無効の主張がされる場合があります。

例えば、「そのとき既に母さんはボケていたから無効だ」とか、遺言で有利に取り扱われている長男に対し「兄さんが母さんの手を持って無理やり書かせたのだろう」などといった具合です。

公正証書遺言の場合には、このような無効主張がなされるリスクも自筆証書遺言と比べて低いと言えます。

なぜなら、公正証書遺言であれば遺言書は公証人と2名の証人の面前で作成しますので、本人が本人の意思で作成をしたことがある程度担保されるためです。

自書する必要がない

自書する必要がない点も、公正証書遺言のメリットの1つです。

そのため、長い文章を書くのが難しくても遺言書を作成することができます。公正証書遺言は自筆証書遺言よりも面倒だというイメージを持つ方もいらっしゃいますが、自書が不要だという点で言えば、むしろ公正証書遺言の方が手間は少ないのです。

自書が不要である以上、法律的な言い回しを気にする必要もありませんし、書き損じの心配もいりません

公証人の出張を受けることもできる

公正証書遺言は、最寄りの公証役場で作成するのが原則です。しかし、ご入院中や施設への入所中など公証役場へ出向くことが難しい場合には、追加の費用はかかるものの公証人の出張を受けることもできます。

また、作成サポートを専門家へ依頼した場合には、作成前の相談や打ち合わせなどで公証役場へ行く必要もありません。

そのため、出かけることが難しい人であっても作成が可能です。

偽造や変造などのリスクが低い

公正証書遺言は、偽造や変造のリスクが低い点もメリットの1つです。

なぜなら、公正証書遺言の原本は公証役場で保管されるためです。

紛失する心配がない

公正証書遺言を作成すると原本は公証役場で保管され、お手元には謄本や正本が交付されます。

この謄本や正本を仮に紛失してしまったとしても、遺言者の存命中は遺言者が、亡くなった後はその相続人などが公証役場へ請求することで、謄本の再交付を受けることができます。

そのため、遺言書の紛失によるリスクがない点も公正証書遺言のメリットの1つと言えるでしょう。

相続手続きがスムーズ

また、公正証書遺言は相続が起きた後の手続きがスムーズである点も大きなメリットの1つです。

なぜなら、公正証書遺言はその謄本や正本がお手元にあれば、その謄本や正本を使ってすぐに相続手続きに入ることができるためです。

一方、ご自宅などで保管をしていた自筆証書遺言であればまず検認を経なければ相続手続きを行うことができません。また、法務局での保管制度を使っていた自筆証書遺言の場合には、必要書類を揃えたうえで法務局から遺言書情報証明書を取得する必要がありますので、相続手続きに入るまでにすこし時間がかかります。

公正証書遺言作成の費用はいくらかかる?

公正証書で遺言を作成する場合には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。

公正証書遺言を作成する際には、「専門家報酬」「公証役場手数料」「必要書類の取得費用」3つの費用がかかります。では、それぞれ具体的に見ていきましょう。

専門家のサポート報酬は事務所によって異なる

遺言書の作成サポートを専門家へ依頼する場合には、専門家のサポート報酬がかかります。

弊所の場合には、近隣地域の場合一律12万円(2021年6月現在。税別。最新の情報はコチラをご覧ください)です。

この金額は事務所によって異なりますので、依頼を検討している事務所へ個別で確認してください。その際には、下記に注意されると良いでしょう。

  • あまりに安すぎる場合には要注意。私たち専門家は、時間や知識が売りモノです。あまりにも安い場合には単にひな型にあてはめるだけで、きちんと時間を取ってアドバイスをしてもらえなかったりご事情をよく聞いてもらえなかったりする可能性があります。知識がなく自信がないため安くしてしまっているケースもあるようです。
  • どこまでが報酬に含まれているのか、よく確認してください。弊所では別途日当がかかったり書類を集める報酬が上乗せされたり証人の費用が別途生じたりすることはありませんが、事務所の料金体系によっては別途加算となる場合もあります。
  • 相談の場所についても、確認されると良いでしょう。出張でのサポートの場合には、別途加算となる場合もあるためです。

公証役場手数料は内容によって異なる

公正証書で遺言書を作成する場合には、公証役場に手数料を支払う必要があります。

計算方法と計算例は後述しますが、この金額は遺言書で財産を渡す相手ごとの、渡す金額によって異なります

財産総額5,000万円くらいのかたが、2名にそれぞれ2,500万円ずつくらいの財産を渡す内容の遺言書を作る場合には、6万円程度のあることがおおいでしょう。

必要書類の取得費用は状況によって異なる

公正証書に限らず、遺言書を作成する際には、その対象となる財産や遺贈する相手などについて正確に記載する必要があります。そのため、下記のような書類を集めることが一般的です。

  • 遺言者の推定相続人(亡くなった場合に相続人になる人)を確認するための戸籍謄本や除籍謄本等
  • 財産を渡す相手の住民票
  • 不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)など財産に関する資料

これらの書類の取得費は渡す財産の内容や財産を渡す相手の人数などによって異なりますが、おおむね5,000円から1万円程度となることが多いでしょう。

公証役場手数料の計算例

では、公正証書遺言を作成する際の公証役場手数料について詳しく見ていきましょう。

公証人手数料の基本

公証人の手数料は法令で定められています。

日本公証人連合会のHPには下記のように説明がありますので、まずはこちらを掲載します。

目的の価額手数料
100万円以下5000円
100万円を超え200万円以下7000円
200万円を超え500万円以下11000円
500万円を超え1000万円以下17000円
1000万円を超え3000万円以下23000円
3000万円を超え5000万円以下29000円
5000万円を超え1億円以下43000円
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額
  1. 上記の基準を前提に、具体的に手数料を算出するには、下記の点に留意が必要です。
    1. 財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し、これを上記基準表に当てはめて、その価額に対応する手数料額を求め、これらの手数料額を合算して、当該遺言書全体の手数料を算出します。
    2. 遺言加算といって、全体の財産が1億円以下のときは、上記①によって算出された手数料額に、1万1000円が加算されます。
    3. さらに、遺言書は、通常、原本、正本、謄本を各1部作成し、原本は法律に基づき役場で保管し、正本と謄本は遺言者に交付しますが、原本についてはその枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書の証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算され、また、正本と謄本の交付にも1枚につき250円の割合の手数料が必要となります。
    4. 遺言者が病気又は高齢等のために体力が弱り公証役場に赴くことができず、公証人が、病院、ご自宅、老人ホーム等に赴いて公正証書を作成する場合には、上記①の手数料が50%加算されるほか、公証人の日当と、現地までの交通費がかかります。
    5. 公正証書遺言の作成費用の概要は、ほぼ以上でご説明できたと思いますが、具体的に手数料の算定をする際には、上記以外の点が問題となる場合もあります。しかし、あまり細かくなりますので、それらについては、それが問題となる場合に、それぞれの公証役場で、ご遠慮なくお尋ね下さい。

具体的な計算例

では、上記を踏まえて具体的な計算例を4パターン見ていきましょう。

1,妻に全財産8,000万円を相続させる場合

財産総額8,000万円相当の方が、妻に全財産を相続させる遺言書を作る場合の公証人手数料は54,000円です。これに、用紙代数千円が加算されます。

計算方法は、次のとおりです。

  1. 8,000万円は表中の「5000万円を超え1億円以下」に該当するため、43,000円
  2. 財産総額が1億円以下であるため、11,000円を加算
  3. 1+2=54,000円

2-1,妻に6,000万円、長女と二女にそれぞれ3,000万円を相続させる場合

財産総額1億2,000万円相当の方が、妻に6,000万円相当、長女と二女にそれぞれ3,000万円相当の財産を相続させる場合の公証人手数料は、89,000円です。これに、用紙代数千円が加算されます。

計算方法は、次のとおりです。

  1. 妻分:6,000万円は表中の「5000万円を超え1億円以下」に該当するため、43,000円
  2. 長女分:3,000万円は表中の「1000万円を超え3000万円以下」に該当するため、23,000円
  3. 二女分:長女分と同じ理由で、23,000円
  4. 財産総額が1億円超であるため、11,000円の加算はなし
  5. 1+2+3=89,000円

2-2,2-1の遺言書を公証人の出張を受けて作成する場合

上記「2-1」の遺言を、病院などへ公証人の出張を受けて作成する場合の公証人手数料は、143,500円です。これに、交通費の実費分と用紙代数千円が加算されます。

  1. 2-1で計算した金額 89,000円
  2. 出張加算 89,000円×50%=44,500円
  3. 公証人の日当 4時間以内の場合1万円
  4. 1+2+3=143,500円

3,長男や孫など計10名に200万円ずつ相続させる場合

財産総額2,000万円相当の方が、子や孫など計10名にそれぞれ200万円ずつを相続させる(遺贈する)内容の遺言書をつくる場合の公証人手数料は、81,000円です。これに、用紙代数千円が加算されます。

  1. 1名分 200万円は表中の「100万円を超え200万円以下」に該当するため、7,000円
  2. 1×10名分=70,000円
  3. 財産総額が1億円以下であるため、11,000円を加算
  4. 2+3=81,000円

必ずしも遺言者の持っている財産が多い方が公証人手数料が高くなるわけではなく、財産をより細分化して多くの人に渡す場合に手数料が高くなる傾向にあります。

手数料ありきで内容を検討するわけではないかと思いますが、公証人手数料はこのように計算することを知っておかれると良いでしょう。

この記事を書いた池邉からひとこと

公正証書で遺言書をつくる場合には、公証役場へ支払う手数料がかかります。その費用を抑えるために自筆証書遺言を検討される方もいらっしゃるかもしれません。

しかし遺言書は、実際にご相続が起きてから無事に手続きができて初めてその役割を果たすものです。そのため、できれば、より手続きがスムーズで無効になるリスクも低い公正証書遺言で作成されることもご検討頂きたいと思います。

自分で安易につくった自筆証書遺言は、トラブルの原因になることさえあるのです。

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弊所では、ご来所いただく場合や近隣への出張は、初回無料にてご相談をお受けしております。下記のような方は、お気軽に無料相談をお申し込みください。

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  • スムーズに手続きができる遺言書を作成したい
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  • 自分にも遺言書が必要か相談したい
  • 遺言書を作りたいが、何から手を付けて良いかわからない

お身内のご相続が起きた場合

  • お身内が亡くなったが、何から手を付けて良いかわからない
  • 相続手続きの代行をしてほしい
  • 相続人の中に、住所がわからない人がいて困っている
  • 相続手続きで、ご自身が何をすべきか知りたい

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