遺言で他人に財産を渡したら相続税はかかるのか|常滑の遺言書作成

税金の話

遺言書があれば、相続人以外に財産を渡すことも可能です。

では、遺言で他人に財産を遺贈する場合、その他人に相続税はかかるのでしょうか。

この記事では、他人へ財産を遺贈する場合の注意点について解説します。

相続税がかかる相続かからない相続

まずは、相続税について簡単に解説します。

実は、相続税はすべての相続についてかかるものではありません。相続税がかかる相続は、全体の8%程度であると言われています。

では、その相続について相続税がかかるかどうかはどのように判断すれば良いのでしょうか。

基礎控除額を超えれば相続税の対象になる

相続税は、「課税価格の合計額」が「相続税の基礎控除額」を上回る場合に申告が必要です。この「課税価格の合計額」は、次のように計算をします。

  1. その相続で財産をもらった人ごとに、次の額を計算する
    1. 相続又は遺贈により取得した財産の価額(預貯金や不動産など)を合計する
    2. 1にみなし相続により取得した財産の価額(生命保険や死亡退職金)を加算する
    3. 2から非課税財産の価額(お墓や仏壇など)を控除する
    4. 3に、相続時精算課税を使っていた場合には、その贈与の額を加算する
    5. 4から債務や葬儀費用を控除する
    6. 5に相続開始前3年内に受けた贈与の額を加算する
  2. 1で計算した各人の課税価格を合計する

少しややこしく思えますが、通常は相続時に残っていたプラスの財産からマイナスの財産を引いた残りのことだと考えれば良いでしょう。

この課税価格の合計額と相続税の基礎控除額を比較し、課税価格の合計額が相続税の基礎控除額よりも大きければ、相続税の申告が必要です。

なお、相続税の申告要否を判断する段階では、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は適用せずに判断します。これらの特例の適用は、申告が要件となっているためです。

相続税の基礎控除額はいくら?

相続税の基礎控除額は、次の計算式で算出します。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

この計算式にあてはめると、法定相続人が2名の場合の基礎控除額は4,200万円、法定相続人が3名の場合の基礎控除額は4,800万円です。

なお、法定相続人とは、法律で定められた相続人のことを指します。

この計算で使う法定相続人の数は、遺言などで相続人ではない人が財産をもらったり、相続放棄をした人がいたり、相続で財産をもらわない人がいたりした場合でも変動しません。

他人が遺言で財産をもらった場合も相続税はかかる

遺言があれば、他人へ財産を遺贈するとも可能です。

そして、財産をもらった人が相続人でなかったとしても、上で説明をしたとおり、その相続全体で見て課税価格の合計額が相続税の基礎控除額を超えていれば、相続税は課税されます。

財産を受け取った人が他人だからといって、相続税の対象にならないわけでも、他人がもらった分を控除して課税の要否を判断するわけでもありません。

では、他人に財産を遺贈した場合、相続税の観点からどのような点に注意すれば良いでしょうか。主な注意点を2つご紹介します。

相続税が2割増しになる

相続税には、相続人ではない人などが遺贈などで財産を受け取った場合、その人の支払うべき相続税が2割増しとなる決まりがあります。

相続税がかかりそうな方が遺言で他人に財産を遺贈する場合には、この点にも注意しておきましょう。

財産をもらった人が一緒に申告をする必要がある

遺言で財産を渡す相手と相続人との関係性が良くない場合には、こちらにもぜひ注意してください。

それは、相続税の申告は、原則としてその相続で財産をもらった人が共同して行う必要があるということです。

相続税の計算は、まずその相続の全体の財産を洗い出し、トータルでの相続税を計算します。その後、このトータルの相続税を、実際に財産をもらった人が財産をもらった割合で按分して納税するわけです。

つまり、それぞれがもらった財産だけでは正確な申告はできないため、まずはその相続の対象となった全ての財産の情報を集約する必要があるのです。

そうなると、その相続で財産をもらった人同士の関係性が悪ければ、この情報の集約に苦労してしまうことにもなりかねません。

現実的には共通の税理士へ依頼をして、その税理士が情報を集約することが落とし所になることが多いかと思いますが、その税理士の選択さえも考えがまとまらないほど関係性が悪い場合には、それぞれが別の税理士へ依頼することになります。その場合には、税理士の費用もかさむことになるでしょう。また、現実的に期限内の申告が困難となり、延滞税などが加算されるリスクも無視できません。

さらに、基本的にはお互いがそれぞれどの財産を相続し、その財産の相続税評価額がいくらなのかという情報はお互いに知ることとなります。この情報がなければ、正しい申告ができないためです。

遺言で財産を他人に渡すことは可能ですが、相続税の申告が必要な場合には、ぜひこの点も知っておいてください。その上で、場合によっては他人へは遺言でではなく、贈与税はかかるものの、生前贈与で財産を渡すことも検討されると良いでしょう。

この記事を書いた池邉からひとこと

財産を他人へ渡す際、税金の額だけの話でいえば、通常は生前贈与でかかる贈与税よりも遺言で渡した場合の相続税の方が安く済むことが多いでしょう。

しかし、相続税の申告を原則として共同で行うということは、意外な盲点と言えます。少々極端な(ほかにも問題のある)例ですが、イメージしやすいところで言うと、たとえば相続税がかかるくらいの資産をお持ちの方が「応援したい女性に、家族には内緒で遺言で500万円遺贈する」などとやってしまえば、相続税の申告において家族にバレてしまうわけです。

こうしたことも踏まえて、税金が高くなったとしても、場合によっては遺言ではなく生前贈与で渡す選択も一考の余地があると言えるでしょう。

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