配偶者居住権は、登記が必要?

相続法改正

配偶者居住権とは

2018年7月の民法改正により、配偶者居住権が創設されました。

配偶者居住権とは、被相続人名義の自宅不動産を、「自宅不動産の所有権」と「配偶者が亡くなるまでその不動産に無償で居住する権利(=「配偶者居住権」)とに分けて相続できる制度です。これにより、従来より柔軟な遺言や遺産分割が可能となりました。

では、配偶者居住権は、登記が必要なのでしょうか。

配偶者居住権は、登記すべきか。

結論を言えば、登記すべきです。

罰則はあるか

まず、登記をしなかったからといって、配偶者居住権を取得した配偶者自体が罰せられるようなことはありません。

登記しなかった場合のリスク

一方で、登記をしなかった場合には、第三者に対抗ができません

平たく言えば、配偶者居住権の元となる建物を所有者が第三者に売却したような場合に、配偶者居住権の登記をしていなければ、その第三者から「出ていけ」と言われる可能性がある、ということです。これは、非常に大きなリスクですね。

第三者からすれば、不動産を購入前に登記簿を確認することで、何か余分な権利がついていないか確認します。配偶者居住権についてきちんと登記がしてあれば、購入前に確認することで、「この建物は配偶者居住権がついているから、買わないでおこう」「配偶者居住権がついていても、この値段なら買っても良いかな」という判断ができるわけです。

しかし、登記をしていなければ、確認するすべがありません。そのため、登記をしていないのであれば、配偶者居住権は守られない、ということです。

建物所有者の義務

また、配偶者居住権のもととなる不動産の所有者には、配偶者に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えされる義務があります。

第1031条(配偶者居住権の登記等)
 居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。

以上の理由から、配偶者居住権を取得した場合には、必ず登記しておきましょう。

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