終活で入院費の支払いにはどう備えれば良いか|家族形態ごとに解説

終活全般

終活においては、いざ入院となった際への入院費の備えも考えておいた方が良いでしょう。突然倒れて入院することとなった場合には、銀行口座の中にはお金があっても、ご自身の口座からお金を下ろすことが難しい場合もあるためです。

この記事では、ご家族のカタチごとに入院費の備えについて解説します。

同居家族がいる場合の入院費の備え

同居の家族がいて、その同居の家族が入院費を立て替えるだけのお金を持っている場合には特に心配は不要です。この場合には、同居の家族が家族自身のお金で一時的に入院費を支払ってくれれば良いためです。

また、万が一そのまま亡くなってしまった場合には、亡くなった後で支払った医療費は相続債務となります。この場合であっても、相続人である家族がまとめて支払うお金を持っているのであれば大きな問題にはなりません。亡くなった方の銀行口座からお金が下ろせるようになるまでの間、一時的に家族に支払ってもらい、その後の遺産分割で精算すれば良いだけであるためです。

一方で、たとえ一時的にであれ家族に支払わせることが心苦しいという場合や、ご家族がまとまったお金を持っていない場合には、次のように備えておくことも検討されると良いでしょう。

生前贈与をする

1つは、いざご自身が入院した際に入院費の支払いなどの手続きをしてくれるであろうご家族に、「もし自分が急に入院をすることになったら、このお金を使ってほしい」と伝えて生前贈与をしておくことです。贈与を受けた人が年間にもらった贈与の合計が110万円までであれば、原則として贈与税もかかりません。

ただし、贈与したお金をどう使うかはもらった人の自由ですので、ご家族に浪費癖がある場合にはこの方法は避けた方が良いでしょう。

自宅に現金を用意しておく

もう1つは、贈与はせず、ご自宅にご自身のお金を現金で用意しておくことです。そのうえで、ご家族に「もし自分が急に入院をすることなどがあれば、ここに現金があるからそれで入院費を支払ってほしい」と伝えておいてください。

ただし、自宅に現金を置いておくことは不用心で、泥棒に入られるリスクもありますので、あまりにも高額な現金の保管はおすすめできません。いざとなれば高額療養費の制度もありますし、医療保険に入っていればその分の支払いは軽減できますので、必要な分だけを保管するようにしましょう。

一人暮らしで子供世帯とは別居している場合の入院費の備え

では、現在一人暮らしでお子様世帯とは別居している場合には、入院費の備えはどうすれば良いのでしょうか。もちろんこの場合でも、いざとなったらお子様が立て替えてくれるのであればそれで構いません。

立て替えてもらうことが難しそうな場合や、心苦しいと言う場合には、下記の方法を検討しましょう。

現金を預けておく

この場合には、万が一の備えてあらかじめお金を預けておくことが1つです。この場合には、贈与と混同されてしまうことのないよう、預ける目的をきちんと伝えておくようにしてください。

また、他のお子様から「姉にだけお金をあげた」などと疑われてしまいいトラブルになってしまわないよう、簡単なもので良いので書面に残すなどしておくと安心です。

配偶者や子がいない場合の入院費の備え

では、いざという時にお金を立て替える配偶者や子がいない場合には、どうすれば良いのでしょうか。

信頼できる人と任意後見契約を結ぶ

この場合には、信頼できる方との間で、あらかじめ任意後見契約を結んでおくと安心です。任意後見契約とは、もし認知症などとなった場合に、本人の口座からお金を出して本人の入院費を支払ったり入院についての契約を代行したりしてもらうための契約です。必要な際に本人の口座からお金を引き出すため、あらかじめお金を預けておく必要はありません。

任意後見契約はとても大事な契約であるため、公正証書で結ぶことが必要です。

自分で希望した相手に依頼できる点や、契約の内容がある程度自由である点で成年後見とは異なります。また、認知症ではないものの入院をして身動きが取れなくなってしまう場合に備えて、委任契約と任意後見契約を組み合わせることも可能です。

近しい親族がいない場合には、入院費の支払い以前に入院契約をする段階で困ってしまう場合もありますので、いざという時に備えて任意後見契約の活用を検討しましょう。

遺言書を作成する

この場合には、遺言書の作成も検討してください。たとえばお子様がおらず、複数いる姪の一人が色々と親身なってくれたり任意後見を引き受けてくれる場合であっても、遺言書がなければこの姪は他の相続人と同等の権利しか得られません。

また、疎遠にはなっているもののお子様がいる場合には、姪は原則として相続の権利は一切ないのです。寄与分として金銭を請求することはできますが、相続人との間で額が折り合わなければ非常に煩雑になってしまううえ、期待したほどの財産が渡せる可能性は高くありません。

こうした際、遺言書があれば、お世話になった姪に多く財産をのこしてあげることが可能です。お世話になった方に報いてあげるためには、ぜひ入院費の検討と合わせて、遺言書の作成も検討しておいていただきたいと思います。

この記事を書いた池邉からひとこと

終活や遺言というと、「まだ元気だから」「そのうち考えようと思う」と言い、先延ばしにしてしまう方は少なくありません。確かに、終活や遺言は面倒なことも多く、また自身の死を考えざるを得ないため、先送りにしたいお気持ちはよくわかります。

しかし、「いざ」という時がいつ訪れるのかは、誰にもわかりません。何ら準備をしないままにその日が突然訪れてしまえば、ご家族を困らせてしまう可能性があるのです。

いざというときご家族を困らせてしまうことのないよう、ぜひお元気なうちから入院費の準備や遺言書の作成などの終活を検討しておいていただきたいと思います。

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弊所では、ご来所いただく場合や近隣への出張は、初回無料にてご相談をお受けしております。下記のような方は、お気軽に無料相談をお申し込みください。

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