動画で解説
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遺言書の優先順位
亡くなった父の遺言が2通も出てきたの。一通は公正証書で一通は自筆なのだけど、どちらが優先するのかしら?
原則として、日付の新しい方が優先されます。
遺言書が複数あった場合には、日付の新しい方が優先して適用されます。これは、遺言書の種類にはよりません。
つまり、古い方が公正証書で、新しい方が自筆証書だったとした場合には、自筆証書が優先して適用されるということです。
古い方の遺言書は、捨てて良いのか
なるほど!じゃあ、一番新しいものだけ残して、古い遺言は、ややこしいから捨てちゃって良いわよね?
ちょっと待ってください!古い方も捨てないでください。
前述の通り、確かに原則としては、新しい方の遺言書が優先して適用されます。しかし、古い方の遺言書も破棄しない方が良いでしょう。
古い方の遺言書を使うケース
古い方の遺言書を使う可能性があるケースとして、下記の場合が考えられます。
- 新しい遺言書が、無効だった場合
- 新しい遺言書と古い方の遺言書で内容が抵触しない部分がある場合
2についてはわかりづらいと思いますので、例を挙げて解説します。
例えば、古い方の遺言書では、「自宅の土地建物は、長男の太郎に相続させる」書かれている一方で、新しい方の遺言書では、「自宅の土地建物は、二男の次郎に相続させる」とあれば、これは内容が抵触しますので、自宅の土地建物は、次郎さんが相続することになります。
一方で、古い方の遺言書では、「自宅の土地建物は、長男の太郎に相続させる」とあり、新しい遺言書では、「(自宅とは別の場所にある)貸店舗とその敷地は、二男の次郎に相続させる」とある場合には、これは特段内容が抵触しません。つまり、内容によってはどちらも有効、ということがあるわけです。
また、仮にすべての内容が抵触する場合であっても、破棄してしまえばその証拠が無くなってしまいますから、この場合でも破棄しない方が良いでしょう。
これから遺言書を残す場合
このように、遺言書が複数残っていると、のこされたご家族が混乱してしまいかねません。また、新しい遺言書で取り分を減らされた人が、「新しい遺言書は無効だ」等と主張して、争いになる可能性もあります。
そのため、遺言書を書き直す際は、古い方を完全に破棄するなどしておいてください。
なお、元の遺言書を公正証書で作成した場合には、手元の謄本を破棄したのみでは、原則として撤回とはなりません。公正証書遺言の原本は、公証役場に保管されているためです。
元の遺言書を公正証書遺言で作成した場合に、その遺言書を撤回したい場合には、作成をした公証役場に連絡を入れましょう。更に、新しい遺言書も公正証書で作成しておかれることをお勧めします。
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