遺言書で、前妻の子にまったく財産を相続させないとすることは可能か。

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遺言書で、前妻の子に相続させないことは可能か

私には前妻との間に子供がいるんだ。でも、今の妻と、今の妻との間の子に全財産を相続させたいんだけど、そういう遺言書って作れるのかな。

うーん・・作成はできますが、遺留分には注意が必要です。

遺言書の内容は自由

遺言書で誰に財産を渡すかは、原則として遺言者の自由です。

そのため、すべての財産を後妻と、後妻との子に相続させる(=前妻との子にまったく相続させない)といったように、子の一部にまったく相続させない内容の遺言書であっても作成はできます

しかし、これが実現できるかどうかは別問題。なぜなら、たとえ前妻との子であっても子であることには変わりがなく、前妻との子にも、遺留分があるためです。

遺留分に注意

遺言書の内容は自由である一方で、どんな遺言書を作成したとしても、原則として遺留分は残ります。つまり、前述のように、前妻との子には一切相続させない内容の遺言書を作成した場合、その遺言自体は有効だとしても、相続発生後に前妻の子から後妻や後妻との間の子に対して、遺留分侵害額請求がなされる可能性は残るということです。

遺留分侵害額請求がなされると、原則として、実際に侵害した遺留分に相当する額を、お金で払わなければなりません。

なお、強制的に遺留分をはく奪することはできないと思ってください。例えば前妻との子が遺言者に暴行を加えたり侮辱をしたりするなどよほど酷い状態であれば、家庭裁判所へ申し立てることにより相続人からの廃除が認められ、これが認められると遺留分もなくなります。しかし、単に前妻との子であることを理由とする場合はもちろん、例えば遺言者との相性があまりよくないとか、長年会っていないというだけでは、廃除は難しいでしょう。

遺留分侵害額請求の期限

また、遺留分侵害額請求の期限は、長めに設定されています。

民法

(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
第千四十八条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

つまり、遺言者が亡くなったこととその遺言の内容を知った時からは1年間ですが、遺言者の死亡を知らずに期間が経過したとしても、例えば亡くなってから8年後に死亡等を知った場合、それから1年間は請求ができるということです。

遺言書を隠し通せるか

上記のように期限も長いですし、また、遺言書の存在を隠し通すことも困難でしょう。なぜなら、状況ごとに、下記のパターンで判明するからです。

  • 下記すべて・・遺言執行者からの通知で判明する(遺言執行者には、遺言書で財産をもらわない人を含め法定相続人全員に遺言の内容の通知義務がある)
  • 公正証書遺言の場合・・前妻の子が、遺言者の死亡後に公証役場へ問い合わせることで、遺言の有無の確認や閲覧ができる
  • 自筆証書遺言を法務局で保管した場合・・相続人の誰かが法務局から証明書を取得した時点で、前妻の子を含めた法定相続人全員へ通知が行く
  • 自筆証書遺言を自宅等で保管した場合・・検認を経なければ手続きに使えず、検認の申し立てをすると前妻の子を含めた法定相続人全員へ通知が行く

遺留分侵害額請求に備えた対策

上記から、例えば「長年会ってないんだから、遺留分請求はされないだろう」と安易に考えるのはお勧めできません。

遺留分を侵害した内容の遺言書を作成するのであれば、仮に請求された場合に備え、生命保険を活用するなどして支払資金を準備するなど、事前の対策を併せて行うことが不可欠です。

遺留分を侵害する内容の遺言書は作成できますが、遺留分を請求された場合のことまで踏まえて対策を検討する必要がある旨は、知っておいてください。

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