改正で新設された、自筆証書遺言の保管制度
2018年に成立した改正相続法(民法 相続編の改正)の一環として、法務局での自筆証書遺言の保管制度が新設されました。
では、法務局で遺言書を保管してもらうには、どのような手続きを踏めば良いのでしょうか。
遺言書保管制度の利用方法
遺言書保管制度の利用方法については、下記のように定められています。
(遺言書の保管の申請)
第四条 遺言者は、遺言書保管官に対し、遺言書の保管の申請をすることができる。
2 前項の遺言書は、法務省令で定める様式に従って作成した無封のものでなければならない。
3 第一項の申請は、遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所(遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されている場合にあっては、当該他の遺言書が保管されている遺言書保管所)の遺言書保管官に対してしなければならない。
4 第一項の申請をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、遺言書に添えて、次に掲げる事項を記載した申請書を遺言書保管官に提出しなければならない。
一 遺言書に記載されている作成の年月日
二 遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
三 遺言書に次に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所
イ 受遺者
ロ 民法第千六条第一項の規定により指定された遺言執行者
四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
5 前項の申請書には、同項第二号に掲げる事項を証明する書類その他法務省令で定める書類を添付しなければならない。
6 遺言者が第一項の申請をするときは、遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。
(遺言書保管官による本人確認)
第五条 遺言書保管官は、前条第一項の申請があった場合において、申請人に対し、法務省令で定めるところにより、当該申請人が本人であるかどうかの確認をするため、当該申請人を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を示す書類の提示若しくは提出又はこれらの事項についての説明を求めるものとする。
つまり、整理すると下記の通りです。
どこの法務局へ行くか
下記のうちどこかの管轄法務局に申し出ることになります。
- 遺言書を作成した人の住所地
- 遺言書を作成した人の本籍地
- 遺言書を作成した人の所有する不動産の所在地
ただし、以前この制度を利用して遺言書の保管をしてもらっている法務局があるなら、その法務局に保管を申し出ます。
誰が出向くか
遺言書の保管制度を利用するためには、例外なく遺言者本人が法務局まで出向く必要があります。これは、本人が直接出向くことで、本人の意思で作成した遺言書であるという点をある程度担保するためと思われます。
現在のところ、弁護士や行政書士、司法書士等の専門家や、両親や成年後見人であっても、代理は認められていません。
持参すべきもの
保管制度利用の際、持参すべきものは下記の通りです。
- 作成した自筆証書遺言(無封のもの)
- 遺言者の氏名、生年月日や、受遺者・遺言執行者の氏名、住所等を記した申請書
- 本人確認書類
条文では上記のように定められていますが、持ち物に不備がないか心配でしたら、出向く前に法務局へ電話等で確認されると良いでしょう。
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