遺言書の見直しポイント~お世話になった人に報いる内容になっているか

遺言書チェックポイント

遺言書は、法的要件だけ満たせば良い?

遺言書をつくるとき、やはり多くの人がまず気にするのは、法的要件。確かに遺言書には形式上の要件も多く存在し、その要件を満たさなければ、せっかくの遺言書が無効になってしまいます。

しかし、法的要件はあくまでも、遺言書が遺言書であるための最低限でしかありません。実際に相続が発生し、スムーズに手続きをするため、また、無用な揉め事を防ぐためには、法的要件を満たすのみでは不十分です。

ここでは、遺言書の見直しのうち、「お世話になった人に報いる内容になっているか」という点に焦点をあて、解説していきます。

遺言書では、誰にでも財産をのこせる

まず、前提の話ですが、遺言書であれば、相続人ではない人にであっても財産をのこすことが可能です。

例えば、養子縁組などをしていない場合、息子の妻である嫁は相続人ではありません。しかし、例えば嫁が熱心に介護をしてくれて感謝をしているなどの事情があれば、遺言書で直接、嫁に対して財産を残すことも可能なのです。

寄与分請求の制度ができたが・・

2018年7月の民法相続法改正により、相続人以外の親族が介護等に貢献した場合、寄与分を請求できるという制度が新設されました。

しかし、この制度はあくまでも「請求権」があるのみである点に注意が必要です。寄与分を受け取るためには、相続発生後、相続人に対して、「自分はこれだけの貢献をしたのだから、いくらの寄与分をください」という請求をしないといけない、ということです。更に、金額等の折り合いがつかなければ、裁判などに発展する可能性もあります。

そうなると、この制度の実効性には疑問を持たざるを得ません。元々折り合いが良くないのであれば、争いの火種になってしまう可能性があり、一方で関係性が良いのであれば、遠慮の思いなどからあえて請求しにくい、というケースも少なくないのではないかと感じます。

そのため、「こういった制度ができたので、何もしなくても財産が渡るだろう」と考えるのは得策ではありません。やはり、お世話になった人にきちんと報いたいのであれば、遺言書の中でしっかりと配分を決めてあげることが必要なのです。

遺言書を作る際はどうしても形式面に目がいってしまいがちですが、そうではなく、「お世話になった人に、しっかりと報いる形になっているかな」という視点も交え、確認されることをお勧めします。

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