遺言書は、法的要件だけ満たせば良い?
遺言書をつくるとき、やはり多くの人がまず気にするのは、法的要件。確かに遺言書には形式上の要件も多く存在し、その要件を満たさなければ、せっかくの遺言書が無効になってしまいます。
しかし、法的要件はあくまでも、遺言書が遺言書であるための最低限の要件でしかありません。実際に相続が発生し、スムーズに手続きをするため、また、無用な揉め事を防ぐためには、法的要件を満たすのみでは不十分です。
ここでは、遺言書の見直しのうち、「渡す相手の指定は明確か」という点に焦点をあて、解説していきます。
渡す相手は明確に
遺言書を作る際、例えば自分の子に財産を渡したいような場合には、「明子に渡す」など、名前のみを書いているケースも散見されます。
通常の手紙であればいちいち自身の子をフルネームで書くこととの方が稀でしょうから、お気持ちは非常にわかります。
ただし、遺言書の場合は注意が必要です。単に「明子」のみと書いたような場合、「その方の長女の明子さん」なのか、はたまた「飲み屋で懇意にしていた明子さん」なのか、判断が難しいためです。
前後の文脈や、「相続させる」などの文言から推測できれば手続きができるケールもありますが、やはり疑義を残さないよう、しっかりと記載しておくことをお勧めします。
遺言書で財産を渡す相手の特定方法
では、遺言書において渡す相手の特定はどのようにすれば良いのでしょうか。こちらは特に法律で決まってる話ではないのですが、一般に問題の生じない記載方法をご紹介します。
自分の子など、相続人に相続させる場合
自身の子や妻など、相続人について記載する場合には、「自分との続柄、氏名、生年月日」を書いておくと良いでしょう。住所まで書いても間違いではありません。
「私の長男である鈴木太郎(昭和40年1月1日生)」等です。
友人など、相続人でない人に遺贈する場合
友人や遠い親戚など、相続人以外の人について記載する場合には、「氏名、住所、生年月日」を書いておくと良いでしょう。
「山田京子(昭和30年12月31日生、住所は愛知県常滑市〇〇1丁目1番地」等です。
他人である場合には続柄では特定できませんから、住所までしっかり記載しておきましょう。
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