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自筆証書遺言の保管制度
自筆証書遺言を、法務局で預かってもらえるって聞いたけど、ホントかしら?
ホントですよ!2020年7月から、制度がすでに始まっています。
2018年に成立した改正相続法。これに伴い、新しい法律ができました。その名も、「法務局における遺言書の保管等に関する法律(略して「遺言書保管法」)」です。
この法律ができたことにより、これまで自分で保管するか、信頼できる人に預かってもらうしかなかった自筆証書遺言が、法務局で預かってもらえることとなりました。
遺言書保管制度利用のメリット
それは便利になりそうね!どんなメリットがあるんだろう?
遺言書の保管制度を使わない自筆証書遺言と、制度を利用した自筆証書遺言をくらべた場合、制度利用にはどんなメリットがあるのでしょうか。
考えられるのは、次のようなものです。
- 紛失のリスクの軽減
- 偽造や変造されるリスクの軽減
- 相続発生後、見つけてもらえないリスクの軽減
- 明らかに無効な遺言書を作成してしまうリスクの軽減
自筆証書で遺言書をつくるのであれば、保管制度を使わない手はないと思います。
公正証書遺言との違い
でもそうなると、あえて公正証書遺言を選ぶ必要がなさそうね・・。
それでもやはり、公正証書遺言のほうがより安心です。
自筆証書遺言の保管制度ができたことで、保管制度を利用した自筆証書遺言と公正証書遺言の差が小さくなったことは確かです。
とはいえ、やはりまだまだ公正証書遺言のほうが確実です。
保管制度を利用した自筆証書遺言と比較した場合に考えられる公正証書遺言のメリットは、次の通りです。
- 例えば後から「本人はその時、遺言ができる状態でなかった」等と主張された際に、本人の状態が、ある程度担保される
- 例えば後から「遺言書は無理やり書かされた」「本人の字ではなない」等と主張された際に、本人の意思で作成したことがある程度担保される
- 自分で長い文章を書かなくても良い(字が書けなくても作成できる)
- 病院や施設から出られなくても、公証人に出張してもらい作成できる(自筆証書遺言の保管制度では、例外なく本人が公証役場へ出向く必要がある)
- 相続発生後、金融機関や証券会社等は公正証書遺言への信頼が比較的厚いので、手続きがスムーズに進む可能性がより高い
費用は掛かりますが、やはりせっかく遺言書をつくるのであれば、公正証書遺言をお勧めしたいと思います。
形式よりも、内容に注意
とはいえ、公正証書であれ自筆証書であれ、形式さえ整っていれば問題ないというわけではありません。
問題のない遺言書を作成するためには、形式的な要件を満たすことはもちろん、それに加えて起きうるリスクの検討や、手続き場面からの逆算での検討等、様々な角度から検討することが不可欠です。
遺言書保管制度利用の際には法務局で形式面のチェックはしてもらえますし、公正証書遺言であれば形式は公証役場で整えてくれます。しかし、「この内容ですと相続税のほかに譲渡所得税もかかりそうですが大丈夫ですか」とか、「遺留分を侵害していますが、問題ありませんか」等といった、一歩踏み込んだアドバイスまではしてもらえないことが通常です。
遺言書を作成する際には、専門家も活用しつつ、後世に問題を残してしまわないよう、内容もきちんと吟味したうえで、しっかりと作成されることをお勧めします。
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