民法相続法改正と、遺言書の書き直し③財産の大半が不動産の場合の遺留分侵害遺言

民法相続法改正と、遺言書

2018年に成立した改正相続法(民法 相続編)により、相続についての多くのルールが変更となりました。この改正に伴い、既に作成した遺言書を見なおした方が良いケースもいくつか存在します。

ここでは、財産の大半が不動産である、遺留分を侵害した遺言書を作成したケースを紹介します。

遺留分制度の改正

2018年に成立した改正相続法(民法 相続編)により、遺留分の制度が一部改正されました。これにより、遺留分は原則として、金銭債権となりました。つまり、遺留分を侵害する内容の遺言書があり、相続発生後に遺留分侵害額請求をされた場合、原則として現物での分割ではなく、金銭で支払うべきとされたのです。支払いが困難な場合には分割での支払いが認められる場合はありますが、それでも金銭で支払うべき点に変わりはありません。

方、従来、遺留分は、現物の減殺が原則とされていました。

例えば、相続人が長男と二男の2名である場合。生前贈与などはなく、長男に全財産を相続させるという内容の遺言があったとします。相続財産は、1億円相当の土地、6,000万円相当の建物、預貯金1,000万円。

この場合、二男から長男に対して遺留分減殺請求がなされると、土地の名義のうち4分の1、建物の名義のうち4分の1、そして預貯金1,000万円のうちの4分の1である250万円が、二男のものとなります。これが原則でした。

そのうえで、仮に長男がそれでは困るという場合には、その価格相当額(この例では、土地分2,500万円+建物分1,500万円+預貯金分250万円=4,250万円)を弁済することで、土地や建物が共有となることを防ぐことができていたという立て付けです。

遺言書の見直し

上記の例で、例えば遺言者が、「二男はうちに現金がないことは知っているので、よほど遺留分減殺請求などしてこないと思うが、仮に減殺請求をされたら、原則通り現物の名義を一部取られるだけで済むなら、それで良いか」と考え、遺言書を作成していたとします。

二男自身は結婚しておらず、子もいないような場合には、たとえ一時的に共有となっても最終的には(二男がこの先も婚姻したり子をもうけたりせず、あえて遺言書などを書かなければ、という希望的観測のもとではありますが)、長男のもとに戻ってくると考え、このような遺言書を作成するケースもあるでしょう。

しかし、改正により原則として遺留分は金銭債権となりましたので、仮に遺留分侵害額請求をなされた場合、長男は二男に対し、多額の金銭を支払わなければなりません

そんな額は到底支払えない、という場合には、例えば最初から土地建物の名義を一部二男にする内容とするなど遺言書の内容の見直しをしたり、又は生命保険を活用して支払い原資を確保するなどの検討したほうが良いでしょう。

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