改正で新設された、自筆証書遺言の保管制度
2018年に成立した改正相続法(民法 相続編の改正)の一環として、法務局での自筆証書遺言の保管制度が新設されました。この改正により、作成後の自筆証書遺言が、法務局で保管してもらえるようになります。
では、この制度を利用して法務局に遺言書を預けたあとで、法務局が被災してしまったら、どうなるのでしょうか。
保管先の法務局が被災したら?
法務局が被災した場合の対応について、公式な情報は見つけられませんでした。
ただし、法務局では保管を申請した遺言書現物自体のほか、その遺言書をもとに作成された証明書を磁気ディスクで保管することとなっています。
また、遺言者が亡くなった後、この証明書の閲覧をや交付を受けるには、保管申請先の法務局のみではなく、全国どこの法務局からでも交付申請ができることになっていますので、恐らくこのデータは、法務局間で共有されるのではないかと思われます。
実際に相続の手続きをする際には、この証明書で手続きができることとなっていますので、推測ではありますが、仮に1か所の法務局が被災したところで、遺言書が無駄になってしまう、ということにはならないのではないでしょうか。
そもそも法務局には、遺言書情報のほか、重要なデータや書類が数多く存在します。
そのため、重要情報の保管には特段注意を払ったり万が一に備えた普及のためのバックアップ等、整えているはずです。
法務局が被災する可能性は0ではないかもしれませんが、ご自身で保管されたりするよりは、よほど安全かと思われます。
なお、遺言書を公正証書で作成した場合には、遺言者の手元に謄本や正本が交付されるほか、遺言書原本は公証役場で保管されます。
こちらも、データでも保管する等対策をしているかと思われますので、
自筆証書遺言の保管にこだわらず、公正証書での作成も検討されると良いのではないでしょうか。
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