Q,相続放棄があった場合、相続税の基礎控除額は変動しますか?
良いことを考えたわ!うちは子が1人だけど、夫の両親は他界していて夫には兄弟が10人もいるの。子が相続放棄をすれば、相続人が一気に増えて、相続税の基礎控除額もかなり増えるわよね?
A,相続放棄があっても、相続税の基礎控除額には影響しません。
残念ながら、相続税の基礎控除額はいくら放棄をしても変動しないです。
家子さんのように考える方もいるかもしれませんが、残念ながら、いくら相続放棄をしても基礎控除額に影響はありません。このことは、相続税について定めている、相続税法でも明記されています。
相続税法
(遺産に係る基礎控除)
第十五条 相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格(第十九条の規定の適用がある場合には、同条の規定により相続税の課税価格とみなされた金額。次条から第十八条まで及び第十九条の二において同じ。)の合計額から、三千万円と六百万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額(以下「遺産に係る基礎控除額」という。)を控除する。
2 前項の相続人の数は、同項に規定する被相続人の民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人の数(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める養子の数に限るものとし、相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人の数とする。)とする。
一 当該被相続人に実子がある場合又は当該被相続人に実子がなく、養子の数が一人である場合 一人
二 当該被相続人に実子がなく、養子の数が二人以上である場合 二人
相続放棄の効果
相続放棄があると、その人は最初から相続人ではなかったことになり、相続の権利が次の順位に移ります。
第一順位の相続人(子など)が全員放棄をすると次は第二順位(親など)が相続人になり、第二順位の相続人も全員放棄をすると、第三順位の相続人(兄弟姉妹など)が相続人になります。
相続税の基礎控除額の計算
相続税の基礎控除額は、「3,000万円+法定相続人数×600万円」で計算をします。
では、配偶者なし、子など第一順位の相続人が1人、第二順位の相続人はすでに他界していて存在せず、兄弟姉妹など第三順位の相続人が10人いる場合には、放棄をしたほうが相続人が増えるので、基礎控除が大きくなり相続税が減るのでしょうか?
相続放棄があると、相続税の基礎控除額が変わる?
結論は、相続放棄があっても、相続税の基礎控除額には影響しません。
そのため、基礎控除額の計算式は、「相続人数」ではなく「法定相続人数」です。「法定相続人」とは、相続放棄がなかった場合の相続人のことを指しますので、先の例では相続放棄をしてもしなくても、相続税の基礎控除額は「3,000万円+1人×600万円=3,600万円」となります。考えられそうな課税逃れは、しっかり防がれてしまっているのですね。
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