配偶者居住権で、住んでいる配偶者は賃料を払わなければならいのか。

相続法改正

配偶者居住権とは

2018年7月の民法改正により、配偶者居住権が創設されました。

配偶者居住権とは、被相続人名義の自宅不動産を、「自宅不動産の所有権」と「配偶者が亡くなるまでその不動産に無償で居住する権利(=「配偶者居住権」)とに分けて相続できる制度です。これにより、従来より柔軟な遺言や遺産分割が可能となりました。

配偶者居住権と、賃料の負担

では、配偶者居住権を取得して居住する配偶者は、賃料を負担しなければならないのでしょうか。

結論を言えば、配偶者居住権に、賃料はかかりません。そもそも配偶者居住権自体が、「無償で、亡くなるまで居住できる制度」ですので、賃料が発生したら本末転倒なのです。

ちなみに、条文でも明記されています。

(配偶者居住権)
第千二十八条 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。

なお、賃料はかかりませんが、固定資産税や水道光熱費など、通常の必要費は配偶者が負担します。

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