配偶者居住権とは
配偶者居住権とは、2018年の民法相続法改正にて創設された制度です。
配偶者居住権とは、被相続人名義の「自宅の不動産」を、「自宅不動産の所有権」と、「配偶者が亡くなるまでその建物に無償で住む権利(=「配偶者居住権」)に分けて相続することができる制度です。これにより、より柔軟な遺産分割や遺言が可能となりました。
配偶者居住権と、原状回復義務
配偶者居住権は、原則としてその配偶者の死亡により終了します。そして、終了した際には、建物を原状に復して返還しなければなりません。
(居住建物の返還等)
第千三十五条 配偶者は、配偶者居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。
2 第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百二十一条の規定は、前項本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用する。
ここで準用している599条1項、2項及び621条は、次の通りです。
(借主による収去等)
第五百九十九条 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない。
2 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができる。
(賃借人の原状回復義務)
第六百二十一条 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
配偶者居住権は無償で居住できる権利ですが、その多くで賃貸借契約の規定を準用しています。
配偶者居住権の活用を検討する場合には、このあたりも知っておかれると良いでしょう。
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