配偶者居居住権と、増改築。

相続法改正

配偶者居住権とは

配偶者居住権は、2018年の民法相続法改正にて創設されました。

配偶者居住権とは、被相続人名義の「自宅不動産」を、「自宅不動産の所有権」と、「配偶者が亡くなるまでその建物に無償で住む権利(=「配偶者居住権」)に分けて相続することができるようになる制度です。

これにより、より柔軟な遺産分割や遺言が可能となりました。

建物の増改築は、どうするか。

では、配偶者居住権の対象となる建物を増改築する場合は、どうすれば良いのでしょうか。

結論は、配偶者が増改築をするには、建物所有者の承諾が必要となります。仮に無断で増改築をした場合には、建物所有者から配偶者居住権を消滅させられてしまう可能性があるので、注意しましょう。

(配偶者による使用及び収益)
第千三十二条 配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。
2 配偶者居住権は、譲渡することができない。
3 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない
4 配偶者が第一項又は前項の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができる。

また、建物所有者の許可を得て建物を増改築した場合、その増改築が建物の価値を増加させる有益費となる場合には、建物所有者から費用の償還を受けることができます。

根拠となる条文は、下記の通りです。

第1034条(居住建物の費用の負担)
 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。
2 第583条第2項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。

1034条2項にて参照している条文は、下記の通りです。

第583条 

<略>
2 買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、第196条の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、有益費については、裁判所は、売主の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

さらに、196条は次の通りです。

第196条 占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
2 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

配偶者居住権の活用を検討する際には、この辺りも知っておかれると良いでしょう。

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