証券口座へのマイナンバー紐付けと相続税

終活全般

証券口座へマイナンバーが100%紐付けされる

2021年年6月5日の日経新聞朝刊に、次のような記事が掲載されました。

証券税務調査にマイナンバー 未提供でも口座ひも付け

記事によれば、証券口座へのマイナンバーの紐付けは法的な義務となっているものの、これまでは渋る個人も少なくなく、全体の2020年12月末時点では64%程度の紐付けに留まっていたようです。しかし、2021年末までに残りの36%につき、証券保管振替機構(ほふり)からマイナンバーを取得することで全ての証券口座にマイナンバーを紐付けするとされています。

この記事を受けて、相続への影響につき解説していきます。

証券口座へのマイナインバー紐付けで相続税は増税されるのか

まずは、相続税への影響について考えてみましょう。

相続税の仕組みが変わるわけではない

まず、証券口座にマイナンバーが紐付けられたからといって、相続税の計算方法が変わったり増税をされたりということではありません。亡くなった方の持っていた財産は、証券会社に預けている有価証券も含め、従来から相続税の対象となる財産です。

そのため、適正に申告や納税をしている方にとっては、特に影響はないと考えて良いでしょう。

申告漏れは把握しやすくなる

一方で、脱税や申告漏れはよりバレやすくなると言えるでしょう。弊所でお付き合いのある税理士さんの話などを勘案すれば、もともと税務署がきちんと調べれば財産を隠し続けることは困難ではあるのですが、人手の問題で「結果的に調べられずバレなかった」というケースもあるかもしれません。そのため、「うちはバレなかったから、このくらい隠しても平気だよ」などと、専門家ではない友人などから聞く場合もあることでしょう。

もちろん、これまでも脱税が発覚してペナルティを課されたケースも多かったものと思われます。相続税の調査自体は多く、申告全体の3分の1程度が調査に入られるような話も耳にするためです。

これに加え、証券口座全てにマイナンバーが紐付けられることで、今後はより申告漏れや脱税が発覚しやすくなる可能性が高くなると思われます。

申告漏れがバレたらどうなるのか

安易に申告漏れをしてしまった場合、それがバレるとペナルティが課される可能性があります。

申告漏れのペナルティとしては、本来支払うべきであった相続税に加え、過少申告加算税や無申告加算税を支払う必要が生じます。また、本来の納付期限から遅れたことに対する利息的な意味合いの延滞税も支払わなければなりません。さらに、悪質だと判断されれば重加算税が課される可能性もあります。

相続税の申告漏れはバレる可能性が高いうえ、バレた場合には重いペナルティが課されることとなりますので、適正な申告をするようにしましょう。

証券口座へのマイナンバー紐付けで相続財産の確認は容易になるのか

亡くなった方が証券会社に口座を持っていることを、ご家族が知らない場合もあります。そのような場合でも証券会社から取引履歴報告書などが郵送されれば、ご家族は口座の存在を知ることができ、相続手続きへ進むことが可能です。しかし、取引をしていた証券会社がネット証券であった場合には郵送物もかなり少ないため、ご家族が口座の存在を知らず相続手続きが漏れてしまうことも懸念されます。

では、証券口座へマイナンバーがひも付けされることにより、亡くなった方の持っていた証券口座をご家族は探しやすくなるのでしょうか。

結論をお伝えすれば、残念ながら今のところ、ご家族が取引していた証券会社をマイナンバーから探すことはできません。そもそもマイナンバー自体には情報は格納されておらず、どこかにマイナンバーを入力することでその方の情報の一覧を見るようなことはできないためです。むしろ、このようなことができてしまえば、個人情報の管理の面から問題が頻発してしまうことでしょう。

ただし、将来的には、たとえばその方が亡くなった旨の死亡届を役所に出すことで、その事項が役所から証券会社へ通知され、証券会社から「相続手続きのお知らせ」が郵送されるなどの運用がなされる可能性はあるかもしれません。

いずれにしてもいま現在はこのような運用はなされていませんので、従来どおり郵送物を確認したり可能性のある証券会社に1つ1つ問い合わせる他ないでしょう。

相続財産のありかがわからなければ手続きが漏れてしまったり、遺産分割協議がまとまってから新たに証券口座が見つかり手続が煩雑になってしまったりする可能性がありますので、ぜひお元気なうちに、ご自身が口座を持っている銀行や証券会社の口座の一覧表を作っておいていただきたいと思います。

私はマイナンバーカードを持っていないから関係ないでしょ?という方へ

たまに、「私はマイナンバーカードを持っていないから、関係ないでしょ?」とおっしゃる方がいます。しかし、それは誤解です。

マイナンバーは、すでに全ての日本国民に付与されています。

たとえ「マイナンバーカード」を持っていなかったとしても、「マイナンバー」自体はすでに付与されているのです。その証拠に、すでにマイナンバー通知カードは送付されているものと思われますし、住民票を取得する際にマイナンバーの記載のある住民票を取ることも可能です。

マイナンバーカードを持っているかどうかと、マイナンバーが付与されているかどうかは別のお話しですので、この点は誤解のないようにしておきましょう。

この記事を書いた池邉からひとこと

マイナンバーが証券口座に紐付けをされたところで、適切に申告や納税をされている方にとっては何ら大きな変化はありません。むしろ、紐付けがなんとなく不安だからといってご自宅に多額の現金を保管したりすれば、盗難にあってしまう可能性もあり不用心です。

また、現金で資産を保有していると、相続が起きてからご家族間で「同居している家族がお金を抜いたのではないか」など疑心暗鬼となり、相続争いの原因となってしまうかもしれません。

そのため、慌てて換金することは避けたほうが良いでしょう。

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