遺言書とエンディングノートはどう違う?

遺言書やエンディングノートに興味はあるが、それぞれどう違うかわからず、どちらを書こうか悩んでいる、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、遺言書とエンディングノートについてそれぞれ解説をしたうえで、終活にあたって遺言書とエンディングノートはどう使い分ければ良いのか、詳しく解説します。

エンディングノートとは

エンディングノートとは、終活にあたって書き残しておくべき事項を書き込めるように作成されたノートです。

財産のことのみならず、ご家族構成や、ご自身の想い、生い立ちなどについても書き込める項目があることが一般的ですが、そのノートごとに特色があるため、ノートによって項目も異なります

書店へ行くと各出版社から出されたものが多く見つかるほか、保険会社や葬儀社などが独自で作成し、セミナーに参加した際などに配布されることも少なくありません。

エンディングノートは法律に登場するものではありませんが、終活にあたって考えておきたいことを書きながら検討したり、ご家族に伝えておきたいことを書きこめたりする点で、とても便利なものです。

遺言書とは

遺言書とは、ご自身亡きあとの財産の行き先などを決めておく、法的な文書です。

原則として、遺言書に書いた内容は、相続が起きた後で実現されることとなります。また、実際に遺言書を金融機関の窓口や法務局などに提出することで、相続手続きを行なうことが可能です。

とても強い効果を持つ書類ですので、遺言書が遺言書たるための要件は、法律で厳しく定められています。

遺言書の種類にはどのようなものがあるか

遺言書には、平常時に使われるものだけで、3つの種類があります。それは、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」です。

では、それぞれどのような特徴があるのか、見ていきましょう。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、自書することが要件となっている遺言書です。本文全文を自書する必要があるほか、署名や捺印、日付の記載などの要件があります。

手軽に書ける点や費用が掛からない点がメリットである一方で、遺言書を隠されたり捨てられたりしてしまうリスクや、書き方を間違えて無効になってしまうリスクなど、問題も少なくない手法です。

2018年に成立した改正民法により、財産目録の部分についてのみは自書を要しないこととされました。とは言え、自書しなかった財産目録にも署名や捺印の要件はあるため、注意が必要です。

また、2020年7月より、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度も始まっています。保管制度を使った場合には、偽造などのリスクを減らすことができるほか、要件を満たせず無効になるリスクは大幅に減らせることとなりました。

しかし、保管制度を利用したとしても、内容まで確認してもらえるわけではありません。また、本人に遺言の内容を理解して作成する遺言能力があったかどうかという点までは確認されないため、遺言書の内容を快く思わない人から、「そのときはもうボケていたので、無効だ」などと主張されるリスクは、比較的高いと言えます。

公正証書遺言

公正証書遺言は、公証人の面前で遺言の内容を口授して作成する遺言書です。実務上は、事前のやり取りで遺言書の文案を決め、当日は大まかな内容の確認と、あらかじめ作成した文案の読み合わせをしたうえで、署名捺印をして作成が完了することが多いと言えます。

公証人のほか、証人2名の立ち会いが要件です。

公正証書遺言は、原本が公証役場で保管されるため、紛失などの心配がありません。また、遺言書を自書する必要がありませんので、長い文章を書くのが難しい方であっても作成できるうえ、要件を満たせず無効となってしまう心配も不要です。さらに、公証人と証人の面前で作成しますので、遺言能力がなかったとして無効になる可能性もほとんどないと考えて良いでしょう。

作成に費用がかかるものの、最も安心で確実な方法であるがゆえに、最も多く使われている作成方法です。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、あらかじめ自分で作成をした遺言書を封に入れ、その封ごと公証役場へ提出することで作成をする遺言書です。

遺言書の内容が公証人にさえ知られないという点がメリットと言われていますが、もともと公証人には守秘義務がありますし、証人も守秘義務のある行政書士などの専門家を活用すれば外部に情報が漏れることはありませんので、そこまで大きなメリットかと言えば疑問が残るところです。

むしろ、遺言書の内容は誰の確認も入りませんので、自筆証書遺言と同様に無効となるリスクが高く、あえてこの方法で作成をする理由がないことが多いと言えます。

実際に、秘密証書遺言はほとんど活用されておらず、弊所でも一度もお手伝いしたことがないほどです。

遺言書とエンディングノートの違い

では、遺言書とエンディングノートには、どのような違いがあるのでしょうか。主な違いについて解説します。

法的な意味があるかどうか

遺言書とエンディングノートの最も大きな違いは、法的な拘束力の有無です。

遺言書であれば、原則として、そこに書いた内容に法的な拘束力が生じます。例えば、「長男に、自宅不動産を相続させる」という内容の遺言書を作成しておけば、相続が起きたあと、たとえ二男が反対したとしても、長男はその遺言書をつかって自宅不動産を自分の名義に変えることができるわけです。

一方で、エンディングノートには法的な拘束力はありません。仮に、エンディングノートの中に「自宅の不動産は長男にもらってほしい」と書いていたとしても、二男が反対すれば、長男は自宅を自分の名義に変えることはできないのです。当然、エンディングノートを法務局に持っていっても、名義変更はできません。

この点が、もっとも大きな違いです。

書き方のルールがきまっているかどうか

遺言書は上記のとおり、かなり強い効果がありますので、その分その作成方法にも厳密なルールがあります。例えば、自筆証書遺言であれば、要件となっている日付を書きそびれただけでも、無効となってしまうのです。

一方で、そもそもエンディングノートには法的な意味はありませんので、当然ながらその書き方に特にルールはありません。ご自身の日記を書くのにルールがないのと同様だと考えれば良いでしょう。

遺言書とエンディングノートはどちらを書くべき?

それでは、終活にあたっては、遺言書とエンディングノートのどちらを活用すれば良いのでしょうか。それぞれのメリットやデメリットについて見ていきましょう。

エンディングノートのメリットデメリット

エンディングノートの最大のデメリットは、やはり法的な拘束力がない点でしょう。エンディングノートにいくら想いを書いたところで、そこに書かれたとおりに実現するかどうかは、残された相続人次第ということです。

一方で、エンディングノートにはメリットもあります。

メリットの1つ目は、ノートを埋めていく中で、ご自身の終活についてある程度網羅的に検討できる点です。項目を埋めようとすると、「その点はまだ考えていなかったな」という点も出てくるかと思いますので、さまざまな視点からの終活について、考えるきっかけになります。

メリットの2つ目は、ご自身の財産や考えについて、ご家族への申し送りとして使える点です。例えば、保有している預金口座の一覧やクレジットカードの一覧などを書いておけば、いざというとき家族が手続きをする際にとても役立ちます。また、例えば葬儀に呼んでほしい人のリストや葬儀についての考えなどを書いておくと、その点も参考となるでしょう。

メリットの3つ目は、想いが伝わりやすい点です。エンディングノートの中には、ご家族へのメッセージなどを書く欄があるものが大半です。ここにしっかりとお気持ちを書いておくことで、いざと言う際にご家族に読んでもらうことができ、想いを伝えることができます。

遺言書のメリットデメリット

一方で、内容さえしっかりと検討すれば、遺言書のデメリットは特にありません。強いて挙げるとすれば、強い効果をもつ書類であるがゆえ、なんとなく面倒に感じてしまう方もいらっしゃるという点くらいでしょうか。

一方で、メリットは数多く存在します。

1つ目は、ご自身が築き、守ってきた大切な財産を渡す相手を、ご自分でしっかり決めておける点です。仮に漠然としていても、例えば「自宅は長男に渡したい」とか「長男よりも長女に多めに財産を残してあげたい」などの想いがあるのであれば、その想いを反映した遺言書を作成しておくことで、想いを実現することが可能となります。

2つ目は、相続争いを防ぐことができる点です。すべての財産につき行き先が決まった遺言書があれば、相続が起きた後、遺産分割協議(相続人全員でおこなう、遺産分けの話し合い)は必要ありません。相続争いは、この遺産分割協議が発端となり起きるケースが多いため、そもそも遺産分割協議が不要であれば、争いが起きる可能性をかなりおさえられるのです。

そして、3つ目は、相続人以外の人に対してであっても、財産を渡すことができる点です。遺言書で財産を渡す相手には、特に制限はありません。例えば、子が存命である場合にはその子の子である孫は相続人ではありませんが、遺言書があれば、孫に財産を渡すことも可能です。

エンディングノートを書いてから遺言書をつくるのがおすすめ

このように、エンディングノートと遺言書には、それぞれのメリットが存在します。そのため、終活をするにあたっては、「どちらを使おうか」と考えるのではなく、両方を組み合わせて活用すると良いでしょう。

最もおすすめの方法は、まずエンディングノートを作成しご自身の財産や想いをある程度整理をしたうえで、遺言書を作成しておくことです。

こうすることで、両者の「良いところ取り」ができます。トラブルなく、かつ想いが伝わる相続を迎えるため、ぜひエンディングノートと遺言書を併用することを検討しましょう。

この記事を書いた池邉からひとこと

エンディングノートは、ご自身の想いの整理をするため、とても良いツールです。終活の入り口としてまずはエンディングノートを書いてみると、終活にあたって検討すべき事項が見えてくることでしょう。

一方で、エンディングノートには、残念ながら法的な拘束力はない点も知っておいてください。エンディングノートの中に、いくら遺言書のようなことを書いたところで、要件を満たさなければ、法的な意味合いは生じないのです。そのため、エンディングノートから終活をはじめたとしても、やはり最終的には遺言書をつくっておいて頂きたいと思います。

なお、私は10年以上遺言書の作成サポートや相続手続きのサポートを行っていますが、そのなかでエンディングノートをすべて書ききった方というのは、見たことがありません。だいたいが、書きかけでとん挫しています。

きちんとした性格の方こそ、エンディングノートは最後まで埋めたいと考えるかもしれませんが、エンディングノートの完成を待っていつまでも遺言書がつくれないようでは、本末転倒です。エンディングノートをすべて埋めるのは困難ですから、最後まで書ききることを目標とするのではなく、あくまでも終活の参考として、必要な箇所だけ埋めれば良いという気持ちで活用されると良いでしょう。

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弊所では、ご来所いただく場合や近隣への出張は、初回無料にてご相談をお受けしております。下記のような方は、お気軽に無料相談をお申し込みください。

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  • 遺言書作成をサポートしてほしい
  • 自分にも遺言書が必要か相談したい
  • 遺言書を作りたいが、何から手を付けて良いかわからない

お身内のご相続が起きた場合

  • お身内が亡くなったが、何から手を付けて良いかわからない
  • 相続手続きの代行をしてほしい
  • 相続人の中に、住所がわからない人がいて困っている
  • 相続手続きで、ご自身が何をすべきか知りたい

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