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全財産の寄付は実現できるか
遺言書で、全財産を寄付することってできるのかしら?
実現のためにはいくつかハードルがあるので、お伝えしていきますね。
遺言書で、財産を渡す相手に、特に制限はありません。
例えば、お世話になった病院や活動を応援したい団体などに遺贈(寄付)をすることも可能です。また、全財産を寄付すると遺言書に書くこと自体も自由です。
しかし、寄付の実現のためにはいくつか注意しなければならない点があります。
1、相手に受け取る義務はない
遺言書で、団体に対して遺贈をする旨を書くのは、遺言者さんの自由です。例えば、まったく縁もゆかりもない団体への遺贈であっても、記載できます。
しかし、その一方で、いくら遺言書に書いたからといって、相手方に受け取る義務が生じるわけではないという点は、知っておいてください。
例えば、使い勝手の悪い山林の土地などを寄付するという遺言を残されても、通常は拒否されてしまうでしょう。では、預貯金などの金融資産ならだれもが受け取るかというと、実はそうでもありません。
遺贈を受けると、税金の問題が生じる可能性があるほか、団体内の体制が整っていなかったり、相続に巻き込まれたくない等それぞれの団体の理由で拒否をされるケースも、実は少なくないのです。弊所で実際に団体へ問い合わせた感覚では、だいたい3分の1から半分程度の団体で、金銭であってもお断りしているとの回答でした。
仮に寄付をする内容の遺言書を作成して相続が発生した後、いざ寄付をしようとした段階で拒否をされてしまうと、その財産は宙に浮いてしまいます。
そうならないために、遺言書での寄付を検討している場合には、遺言書を作成する段階で、あらかじめその候補先の団体に、寄付の受け入れ体制があるかどうか確認されると良いでしょう。更に、仮に拒否されてしまった場合の第二候補の遺贈先についても遺言書で指定しておくと、より安心です。
2、遺言執行者を定めておく
団体など、相続人ではない相手に財産を渡す場合には、法定相続人全員の協力か、遺言執行者の存在が不可欠です。
法定相続人の中に非協力的な人や、協力したくてもそのままでは協力が難しい人(認知症の方など)等がいると手続きが煩雑になってしまいますので、あらかじめ遺言書で遺言執行者を指定しておいた方が良いでしょう。
3、遺留分
全財産や、財産の大半を寄付しようとする場合には、遺留分にも注意が必要です。
遺留分を侵害したからといって、ただちに遺言書が無効となるわけではありません。しかし、遺留分のある相続人から財産を受け取った団体等に対して、遺留分侵害額請求をなされ、トラブルに発展してしまう可能性があるためです。
寄付をしようとする際には、ご自身に遺留分のある推定相続人がいるかどうか、そして、その遺言の内容は遺留分に抵触していないかどうかも検討の上、作成されると良いでしょう。
カンタンに考えていたけど、注意すべき点も多いのね・・。
問題のない遺言書をつくるのは、意外と簡単なことではありません。遺言書はぜひ、相続が起きた後の手続きに詳しい専門家に相談しながら作成されることをお勧めします。
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