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相続人全員の捺印は、なぜ必要?
父の相続手続きをしているのだけど、なぜ手続きに相続人全員の捺印が必要なのかしら。
確かに、大変ですよね。順を追って、見ていきましょう。
遺言書のない相続において、故人の財産の名義変更をしたり解約したりする際には、原則として相続人全員の実印での捺印が求められます。
これは、なぜなのでしょうか。
まず、相続が起きると、亡くなった人の持っていた財産はすべて、相続人全員での共有となります。
(共同相続の効力)
第八百九十八条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
共有になっている以上、共有者の一部のみでその財産の権利のカタチを変えることは、認められません。
(共有物の変更)
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
ですから、自動的に共有財産となっている相続財産を解約したり、相続人の1人の名義に名義変更をしたりする際には、原則として相続人全員の同意が必要なのです。
同意の証拠
もちろん、権利に関するとても大切な事ですから、相続人の一部が銀行の窓口で、「私がこの預金をもらうことに、他の相続人は全員合意してくれていますよ。」と口頭で話しただけでは、手続きできません。
その話が本当かどうか、証拠がないためです。
そこで、本当に他の相続人全員が同意していますよという証明として、実印での捺印と、その印が実印であることを証する印鑑証明書が必要なのです。
相続手続きでは書類が多くて大変ですが、1つ1つの書類にきちんと理由がありますので、参考として知っておかれると良いでしょう。
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