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遺言書で、有名人に財産を渡せるか
私、芸能人のキヨシさんが大好きなの!彼に遺言で財産を渡すことってできるのかしら?
うーん・・実現にはいくつかハードルがありますね・・・
遺言書で財産を渡す相手には、特に制限はありません。
推定相続人に財産を渡すことはもちろん、推定相続人ではない親族や、まったく血縁関係のない相手であっても、遺言書があれば財産を渡すことが可能です。芸能人や有名人に財産を遺贈すると書くことも、制限されるわけではありません。
しかし、その実現にはいくつかハードルがあります。
相手が特定できるか。
遺言書で財産を渡すためには、相手をしっかり特定する必要があります。通常、友人や知人であれば、その方の氏名、住所、生年月日等を記載することで、特定するわけです。
一方、芸能人や有名人は通常、住所などはわかりません。本人の特定さえできれば住所の記載がないからといって無効ということではありませんが、やはり、まずここが1つのハードルとなるでしょう。
実現の際、相手と連絡が取れるか
相手方の特定ができる記載ができ、遺言書自体は作成できたとしても、次のハードルは、その実現です。
遺言書を遺言書通りに実現するためには、やはり相手方と連絡を取る必要があります。有名人や芸能人であれば通常、直接連絡は取れませんので、所属事務所等を通してやり取りをすることになろうかと思いますが、所属事務所がこういった面倒なやりとりを仲介してくれるという保証はなく、門前払いされてしまう可能性もあるでしょう。
なお、こういったことを踏まえ、最初から「キヨシさんの活動に役立てる」という負担を付して、所属事務所あてに遺贈するのも1つの方法です。ただし、その場合にも次の問題は残りますし、実際にその財産が望む通りに使われたかどうか確認するのも難しいのが現実です。
相手方に受け取る義務が生じるわけではない
遺言書で、財産を遺贈すると記載するのは自由である一方で、相手方が遺言書どおりに財産を受け取るかどうかも、相手方の自由です。
そのため、いくら遺言書を作成できたとしても、相手方から拒否されてしまえば、実現はできません。
遺留分
財産の一部を渡すくらいであれば、この点はよほど問題ありませんが、財産の大半を渡す場合には、子や配偶者など他の相続人の遺留分を侵害しないよう、注意が必要です。
遺留分を侵害したからと言って遺言書が無効になるというわけではありませんが、相続発生後、遺留分のある子から財産をもらった相手に対して、遺留分侵害額請求がなされ、トラブルになるリスクがあるためです。
また、そもそも遺留分を侵害している場合にはトラブルを避けるためにも、当初から受け取りを拒否される可能性も高いでしょう。
相続税の課税
遺産総額からみて相続税がかかる場合には、財産をもらった芸能人や有名人側で税金の負担が生じます。相続税の計算をするには、原則として財産の全体像を把握する必要があるため、一般的には、相続で財産を受け取った人同士の協力が必要です。
しかし、相手が芸能人や有名人の場合には、これも相手方にとってかなりの負担になるでしょう。そのため、相続税がかかるようなケースではそもそも財産を受け取ってもらえない可能性が高いかと思います。
なお、遺留分を侵害しているかや、相続税がかかるかどうかは、遺言書からは判別できないケースも多いため、そもそもこういった負担を避けるため、当初から拒否されてしまう可能性が高いと思われた方が良いと思います。
結論
遺言書で有名人に遺贈すると書くこと自体は自由である一方で、その実現は現実的には非常に困難です。
どうしてもという場合には、遺言書を作成する前に、まずは、所属事務所等に問い合わせてみられると良いでしょう。
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