動画で解説
下記の画像をクリックすると、動画が再生されます。
妻に相続させない遺言書
色々あって、妻には一切財産を相続させたくないんだ!そんな遺言書って、有効なんでしょうか。
うーん・・有効ではありますが、遺留分の問題は残りますね。
遺言書で財産を渡す相手には、公序良俗に反しない限り、特に制限はありません。
例えば、配偶者がいるにも関わらず、その配偶者には財産を渡さず、「長男に全財産を相続させる」とか、「お世話になった姪に全財産を相続させる」といった、配偶者には一切相続させない内容の遺言書を作成することも可能です。
しかし、遺言書が作成できたとしても、実現の際には、1つ問題があります。それは、配偶者には原則として遺留分がある、ということです。
遺留分を侵害した遺言書は無効か
遺留分を侵害したからといって、その遺言書が無効になるわけではありません。しかし、相続発生後、遺留分を侵害された配偶者から財産を多くもらった人に対して、「自分の遺留分を侵害しているので、その分をお金で返してくれ」とう、遺留分侵害額請求がなされる可能性があります。この請求をされると、実際にお金で支払わなければなりません。
こうなると、財産をもらった人を困らせてしまう可能性があります。特に、財産の大半が不動産など簡単に換金できないものである場合には、請求された金銭の工面に苦慮する可能性もあるでしょう。
配偶者に相続させない内容の遺言自体は作成できますし有効ではあります。しかし、遺留分請求をされる可能性を踏まえ、本当に遺留分を侵害した内容で作成して良いのか、又は不服かもしれませんが、遺留分に該当する分は奥様に相続させる形で遺言書を作成するのか、慎重に検討される必要があると言えます。
なお、特段仲が悪い等の理由ではなく、「夫婦それぞれ十分な財産は持っているから、お互いに渡しあうよりは子供たちに渡してあげたいよね」とご夫婦で納得して作成されるのであれば、遺留分の請求をされる可能性も低いでしょうから、よほど問題ないかと思います。
遺留分ははく奪できないのか
遺言書を作っても、遺留分というのは妻に残ってしまうんだね。この遺留分は、はく奪できないのかなあ。
残念ながら、よほどひどい扱いをされているのでない限り、一方的にはく奪はできないです。
遺留分は、どんな遺言書を作成しても、原則として一方的にはく奪することはできない、非常に強い権利です。
唯一可能性があるとするのであれば、相続人から廃除をすることでしょう。廃除とは、民法で次のように定められています。
民法
(推定相続人の廃除)
第八百九十二条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
(遺言による推定相続人の廃除)
第八百九十三条 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
しかし、条文にもある通り、廃除が認められるためには、虐待や重大な侮辱といった重い要件が求められます。例えば、単に仲が悪いとか、ケンカが絶えないといった理由では認められず、なかなかハードルが高いのが実情です。
そもそも、これらの条件は離婚事由にも重なる部分が多いため、実際にこれほどの事情があるのであれば、生前に離婚をしておくことも検討すると良いでしょう。当然ですが、生前に離婚した配偶者には相続権はなく、遺留分もありません。
個別の事情により注意すべき点やできうる対策も異なりますので、遺言書作成の際は、ぜひ専門家を活用されることをお勧めします。
こんな時は、無料相談をご利用ください
弊所では、ご来所いただく場合、初回無料にてご相談をお受けしております。下記のような方は、お気軽に無料相談をお申し込みください。
お身内のご相続が起きた場合
- お身内が亡くなったが、何から手を付けて良いかわからない
- 相続手続きの代行をしてほしい
- 相続人の中に、住所がわからない人がいて困っている
- 相続手続きで、ご自身が何をすべきか知りたい
ご自身の終活をご検討の場合
- スムーズに手続きができる遺言書を作成したい
- 遺言書作成をサポートしてほしい
- 自分にも遺言書が必要か相談したい
- 遺言書を作りたいが、何から手を付けて良いかわからない
※「相続争いが起きている」「納得できない遺言書を無効にしたい」等のご相談は、弁護士法の規定により弁護士以外はお受けできません。お客様の貴重な時間を無駄にしないため、ご予約のお電話の際に、簡単にご相談予定の内容をお聞かせいただき、内容によっては弁護士へのご相談をお勧め致します。弊センターでご対応可能な内容かどうか迷われたら、まずはお問い合わせください。
その他、無料相談についての詳細はコチラのページをご覧ください。
※ご相談は完全予約制です。突然お越し頂いてもご対応いたしかねますので、必ず事前にお電話等でのご予約をお願い致します。
※ご相談中など出られない場合には折り返し致しますので、番号を通知してお掛けください。
フォームからの無料相談のお申込み・無料相談についてのお問い合わせ
※原則、48時間以内に返信致します。返信のない場合にはメールフォームの不具合の可能性がありますので、申し訳ございませんが上記電話番号もしくはinfo@nagomig.comまでご連絡をお願いいたします。
※フォームやメールでのご相談はお受けしておりません。予めご了承くださいませ。
●相続に関する情報を、毎月第2・第4水曜に、無料でお届けしています●
※本ページは執筆当時の情報で記載しています。改正等により情報が変更となった際には随時改訂しておりますが、ご依頼頂いたお客様のサポートを優先しているため、追い付いていない場合もございます。あらかじめご了承くださいませ。
また、実際のお手続き等の際には個別事情や改正等により異なる場合もございますので、専門家へご相談ください。無料のブログ記事という性質上、本記事を参照された結果損害を受けられたとしても、弊センターでは責任を負いかねますので、こちらも予めご了承ください。