民法相続法改正。遺産分割前の預貯金の払い戻し制度は相続税の節税になるか。

遺産分割前の預貯金仮払制度の創設

預貯金の仮払い制度を使ったら、相続税って減らせるのかしら。

残念ながら、相続税の額には一切影響しないですね。

2018年に成立した改正相続法(民法 相続編)により新たにできた制度の一つに、遺産分割前の預貯金の仮払い制度があります。この制度は、遺産分割協議がまとまる前に、各相続人が被相続人の口座から一定の金額を引き出すことができる制度です。

遺産分割協議が長引く場合に、葬儀費用や故人の借金返済など当面の資金需要に対応することを目的として創設されました。

では、この制度を利用することで、相続税の節税にはなるのでしょうか。

相続税には一切影響なし

結論からお伝えすると、本制度を利用したところで、相続税には一切影響ありません。節税になることもありません

実は、本制度のスタート以前から、相続開始の前後で銀行からお金を下したら節税になる、という誤解をしている方には、何度かお会いしたことがあります。

おそらく、「最終的に銀行口座に残っている額に課税される」というイメージをなんとなく持ってしまっているのでしょう。

しかし、相続税は原則として、「相続発生時点」の財産に対して課税されます。そのため、相続が起きた後でいくら預貯金を引き出したところで、相続税の計算には影響しないのです。

なお、相続開始直前に預貯金を引き出した場合も、相続税に影響はありません。例えば1,000万円あった預金口座から100万円を引き出したところで、相続開始時点にある財産が、「1,000万円の預金」から、「900万円の預金と、100万円の現金」に変わったのみだからです。

相続税の申告時には、通常、相続開始前後の預金の動きもチェックされます。節税目的で焦って引き出したり、本制度を利用したりしても意味がないばかりか、寧ろ意味もなく預金を引き出すことで他の相続人とトラブルになったり、税務署から「ほかにも何か隠そうとしたのではないか」と痛くもない腹を探られることにもなりかねません。

本制度は節税とは一切関係ありませんので、誤解のないよう、知っておきましょう。

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