民法相続法改正。遺産分割前の預貯金の払い戻し制度、過去の葬儀代金仮払いとどう違う?

遺産分割前の預貯金仮払制度の創設

預貯金の仮払い制度が新設されたのよね?以前、父が亡くなった時、葬儀代金だけ先に銀行で引き出せたんだけど、それと何が違うのかしら。

元々、銀行独自のサービスとして葬儀代金の仮払いをしているところもありましたね。今回は、それが法律で統一されたイメージです。

2018年に成立した改正相続法(民法 相続編)により新たにできた制度の一つに、遺産分割前の預貯金の仮払い制度があります。この制度は、遺産分割協議がまとまる前に、各相続人が被相続人の口座から一定の金額を引き出すことができる制度です。

遺産分割協議が長引く場合に、葬儀費用や故人の借金返済など当面の資金需要に対応することを目的として創設され、2019年7月より既に施行されています。

しかし、施行日以前であっても、遺産分割が正式にまとまる前に、葬儀費用などにつき金融機関から払い戻しを受けられた、という方もいるのではないでしょうか。

では、本制度とこれまで受けられた払い戻しは、何が違うのでしょうか。

従来は、あくまで金融機関任意の制度

確かに、本制度施行前でも、葬儀費用など相続発生直後の資金需要に対し、遺産分割協議前に金融機関窓口で預貯金の払戻を受けられた、というケースは少なからず存在していました。

ただし、これは法律で定められた制度ではなく、あくまでも金融機関ごとで独自に定められたルールによるものです。何か法律の根拠があったわけではありません。そのため、金融機関ごとに手続き方法や認められる金額が異なるばかりか、そもそも応じない金融機関もありました。

一方、改正により創設された遺産分割前に払い戻し制度は、法律で画一的に定められたものです。また、資金の用途も原則としては問われません。

制度利用時の注意点

新たにできた預貯金の仮払い制度ですが、無闇に利用することはオススメできません。遺産分割協議が複雑になる可能性があるほか、各相続人が「我先に」と仮払いを受けることで、お互いに疑心暗鬼になり、遺産分割協議がよりまとまりににくくなる懸念があるためです。

本制度の利用自体には他の相続人の同意は不要で、かつ資金の利用目的も問われないとは言え、利用する際にはやはり、葬儀費用や故人の家の片づけ、故人の借金返済など、故人様に関連した支出の用途にとどめ、そのうえで事前に各相続人に伝えた方が良いでしょう。

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