配偶者短期居住権とは
2018年7月に成立した改正民法。その中で、配偶者の居住を保護するための方策のひとつとして新設された制度に、配偶者短期居住権があります。
配偶者短期居住権とは、どのような遺産分割がなされても、またどのような遺言書が残されていても、相続開始時、被相続人所有の建物に無償で住んでいた配偶者は、少なくとも相続開始後6か月間はその家に無償で住み続けることができるという制度です。
固定資産税は、誰が支払うのか
では、配偶者短期居住権の対象である建物の固定資産税は、誰が支払うのでしょうか。結論を言えば、原則として居住している配偶者が支払うことになるものと思われます。
根拠は、下記の通りです。
まず、配偶者短期居住権には下記のように、準用されている規定があります。
(使用貸借等の規定の準用)
第千四十一条 第五百九十七条第三項、第六百条、第六百十六条の二、第千三十二条第二項、第千三十三条及び第千三十四条の規定は、配偶者短期居住権について準用する。
このうち、費用負担に関する条文は、1034条です。
(居住建物の費用の負担)
第千三十四条 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。
2 第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。
このように、配偶者短期居住権においても、通常に必要費は、居住者たる配偶者が負担することとされていますので、固定資産税も、原則として配偶者が負担すべきこととなります。
なお、固定資産税は、毎月1月1日現在の建物所有者に請求がされます。
配偶者短期居住権は短期の権利であるため、相続開始後に1年間も居住しない場合もあるでしょう。そのような場合に、たまたま居住期間が1月1日をはさんでいたからといって全額を負担すべきということではなく、通常は、実際に居住していた期間分を按分して負担することになるものと思われますが、この辺りの主張が食い違うような場合には、弁護士へ相談されることをお勧めします。
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