遺言書は、法的要件だけ満たせば良い?
遺言書をつくるとき、やはり多くの人がまず気にするのは、法的要件。確かに遺言書には形式上の要件も多く存在し、その要件を満たさなければ、せっかくの遺言書が無効になってしまいます。
しかし、法的要件はあくまでも、遺言書が遺言書であるための最低限の要件でしかありません。実際に相続が発生し、スムーズに手続きをするため、また、無用な揉め事を防ぐためには、法的要件を満たすのみでは不十分です。
ここでは、遺言書の見直しのうち、「渡す相手が先に死亡した場合のことを考えてあるか」という点に焦点をあて、解説していきます。
自動的に、孫に権利はうつらない
誤解の多い所ですが、遺言書で長男へ相続させると書いた場合、遺言者よりも先に長男が亡くなったからと言って、自動的に長男の子(遺言者の孫)へ権利がうつるわけではありません。
この場合には、長男に相続させると書いた財産は、原則として、最初から遺言書に何も書いていないのと同じ状態になります。つまり、長男の子と、二男や長女が一緒に話し合い、誰がどの財産をもらうのか決めなければならないのです。
「念のため」の予備遺言を
もちろん、自分よりも先に長男が亡くなってしまうようなことが実際に起きたとしたら、その際に改めて遺言書を書き直すことも可能です。
しかし、あらかじめ「もし長男が先に亡くなっていたらどうするか」を決めておけば、再度遺言書を作成する手間や負担が軽減されます。
なにより、その時点で遺言者自身が認知症であったりすれば、もう遺言書の書き直しは不可能です。
「そのときになってみないとわからない」という考えもあるかと思いますが、やはり念のため、たとえ「仮」ではあっても、第二順位の候補者を書いておくことをお勧めします。
そのうえで、仮に実際に自分よりも先に長男が亡くなってしまうようなことがあり、仮で書いた内容がその時点のお考えと変わっていれば、その時点で書き直せば良いのです。
遺言書は、作成から実際に使うまでのタイムラグの長いという点で、特殊な書類です。
そのため、この後起きうる可能性を検討して対策の文言を入れておくことも、問題のない遺言書を作成するためには必要なのです。
遺言書の作成サポート
なごみ相続サポートセンターでは、実際に手続きをする場面から逆算し、問題のない遺言書をつくるためのサポートを行っています。
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