遺言書をつくった後で遺贈相手が死亡したら、遺言書の書き換えは必要か

遺言書チェックポイント

遺贈相手が死亡したら

遺言書は、いったん作成した後でも、いつでも自由に書き換えをすることが可能です。とは言え、公正証書遺言であれば費用もかかりますし、専門家と一緒に作成する場合には専門家報酬も発生しますから、書き換えの要否は悩ましいところでしょう。

ここでは、遺言書で遺贈しようとした相手が遺言者より先に死亡した場合について解説します。

遺贈相手が死亡したら、遺言書の書き換えは必要?

まず、結論を言えば、遺言者よりも先に、遺贈しようとした相手が死亡した場合には、遺言書を書き換えることが望ましいでしょう。

誤解の多い所ではあるのですが、遺贈相手が死亡していた場合、勝手にその亡くなった遺贈相手の子や配偶者に権利がうつるわけではありません。つまり、例えばお世話になった一郎さんに不動産を遺贈するという内容の遺言書があった場合、一郎さんが遺言者より先に死亡したようなときには、一郎さんに渡そうとした不動産は一郎さんの子である太郎さんがもらえるようになるわけではない、ということです。

このような場合、一郎さんに渡そうとした不動産は、遺言書に何も書いていなかったことになり、宙に浮いてしまいます。そのため、一郎さんが先に無くなってしまった場合には、その不動産を誰に渡したいのか、改めて遺言書を作成する必要があるのです。

予備遺言で書き直しは防げる

ただし、遺言書を書き換えなくて良いケースもあります。それは、遺言書をつくる際に、一郎さんが先に死亡した場合に備えた予備的な記載をしていた場合です。

例えば、「下記不動産は、山本一郎(昭和10年1月1日生・住所 愛知県稲沢市~~)に遺贈する。ただし、山本一郎が遺言者より先に、または遺言者と同時に死亡した場合には、同人に遺贈するとした財産はすべて、山本一郎の長男、山本太郎(昭和35年12月31日生・住所 愛知県稲沢市~~)に遺贈する。」といった具合です。

遺言書は、作成から使用するまでの期間が非常に長い、とても特殊な書類です。そのため、今後起きうる出来事に備え、できるだけ様々な事態を想定した内容で作成しておくことが、問題のない遺言書をつくるポイントの一つなのです。

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