相続法改正で新設された配偶者居住権
約40年ぶりに大改正がされた民法相続法。そのうち、目玉となる制度のひとつに、配偶者居住権があります。
配偶者居住権とは、自宅不動産を「自宅不動産」というひとつの財産としてみるのではなく、「自宅不動産を所有する権利」と、「配偶者が死ぬまで自宅に住み続けられる権利(=「配偶者居住権」)」に分けることで、遺産分割や遺言の選択肢を広げよう、という制度です。
それでは、配偶者居住権は、同居していなかった配偶者にも適用があるのでしょうか。
同居していなかった配偶者と、配偶者居住権
結論を言えば、同居自体は要件ではありません。しかし、被相続人名義の家に、相続開始時点に居住していた必要があります。
つまり、配偶者は被相続人名義の家に住み、被相続人自身が長期の単身赴任で賃貸物件に長く住んでいたような場合には、同居はしていませんが、配偶者居住権の対象となります。
一方で、配偶者が被相続人と暮らしていた家を出て、賃貸物件や配偶者の実家等で暮らす形で別居していた場合には、「配偶者が相続開始時に被相続人名義の建物に居住」という要件を満たしませんから、配偶者居住権の対象とはなりません。
配偶者居住権について定めた条文は、下記のようになっています。
民法1028条
1 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
3 第九百三条第四項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。
配偶者居住権は、そもそも、被相続人名義の家で暮らしていた配偶者が、相続を機に住処を失うことのないように、という趣旨でつくられた制度です。
そのため、相続開始時点において被相続人名義の家に住んでいたかどうかが重要となりますので、この点注意しておきましょう。
こんな時は、無料相談をご利用ください
弊所では、ご来所いただく場合、初回無料にてご相談をお受けしております。下記のような方は、お気軽に無料相談をお申し込みください。
お身内のご相続が起きた場合
- お身内が亡くなったが、何から手を付けて良いかわからない
- 各種名義変更など、相続手続きの代行をしてほしい
- 相続人の中に、住所がわからない人がいて困っている
- 相続手続きで、ご自身が何をすべきか知りたい
ご自身の終活をご検討の場合
- スムーズに手続きができる遺言書を作成したい
- 遺言書作成をサポートしてほしい
- 自分にも遺言書が必要か相談したい
- 遺言書を作りたいが、何から手を付けて良いかわからない
※「相続争いが起きている」「納得できない遺言書を無効にしたい」等のご相談は、弁護士法の規定により弁護士以外はお受けできません。お客様の貴重な時間を無駄にしないため、ご予約のお電話の際に、簡単にご相談予定の内容をお聞かせいただき、内容によっては弁護士へのご相談をお勧め致します。弊センターでご対応可能な内容かどうか迷われたら、まずはお問い合わせください。
その他、無料相談についての詳細はコチラのページをご覧ください。
※ご相談は完全予約制です。突然お越し頂いてもご対応いたしかねますので、必ず事前にお電話等でのご予約をお願い致します。
※ご相談中など出られない場合には折り返し致しますので、番号を通知してお掛けください。
フォームからの無料相談のお申込み・無料相談についてのお問い合わせ
※原則、48時間以内に返信致します。返信のない場合にはメールフォームの不具合の可能性がありますので、申し訳ございませんが上記電話番号もしくはinfo@nagomig.comまでご連絡をお願いいたします。
※フォームやメールでのご相談はお受けしておりません。予めご了承くださいませ。
相続に関する情報を、毎月第2・第4水曜に、無料でお届けしています
※本ページは執筆当時の情報で記載しています。改正等により情報が変更となった際には随時改訂しておりますが、ご依頼頂いたお客様のサポートを優先しているため、追い付いていない場合もございます。あらかじめご了承くださいませ。
また、実際のお手続き等の際には個別事情や改正等により異なる場合もございますので、専門家へご相談ください。無料のブログ記事という性質上、本記事を参照された結果損害を受けられたとしても、弊センターでは責任を負いかねますので、こちらも予めご了承ください。