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遺贈の拒否はできるのか。
先日亡くなった知人の遺言書で、私に山林を遺贈するって書いてあったらしいの。山林をもらっても困るし、これって、お断りできるのかな?
原則として、お断りできますよ。
遺言書で、財産を渡す相手に、特に制限はありません。推定相続人のほか、相続人ではない親族、また、血のつながりのない他人にであっても、財産を遺贈を渡すと書くことは可能です。
その一方で、財産を遺贈するとされた相手(「受遺者」といいます)は、その遺贈を拒否することも、原則として自由です。例えば「山林を遺贈する」のように、一定の財産を遺贈する特定遺贈の場合には、いつでも遺贈の放棄ができます。
(遺贈の放棄)
第九百八十六条 受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
2 遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
また、「財産の3分の1を遺贈する」といったような包括遺贈の場合には、相続人と同様の権利義務が生じます。この場合には、相続人同様、相続開始を知ってから3か月以内に相続放棄をすることで、その遺贈を放棄することが可能です。
(包括受遺者の権利義務)
第九百九十条 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
遺言書に書いてあったからと言って、遺贈を受ける義務が生じるわけではありませんので、こちらは知っておくと良いでしょう。
遺言書作成時の注意点
一方、財産を遺贈したい場合には、上記の通り、受遺者から放棄されてしまう可能性を加味して遺言書を作成する必要があります。
縁の薄い第三者に遺贈する場合や、相続人が誰もいらないような財産(山奥の山林など)を遺贈しても、そもそも放棄されてしまう可能性が高いでしょう。
また、お世話になった方への遺贈であっても、遠慮の想いやトラブルに巻き込まれたくないとの思いから、拒否されてしまう可能性が0ではありません。
そうならないために、やはりできれば遺言書を作成する段階で、遺言書で財産を渡そうと思っている旨を、その理由や想いと合わせて、その相手に打診しておかれると安心です。
また、それが憚られるような場合には、万が一拒否されてしまった場合に備え、第二候補の受遺者を定めておくと、拒否された際に財産が宙に浮いてしまわずに済みます。
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