内縁関係と相続
様々な事情から、籍を入れずに内縁のパートナーとして生活している人は、数多く存在します。ここでは、内縁関係と相続に焦点を当ててお伝えしていきます。
なお、パートナーが同性・異性いずれであっても、結論に違いはありません。
では、そもそも内縁のパートナーがいる場合、誰が相続人になるのでしょうか。
内縁のパートナーは相続人ではない
実はうちは、法律上は籍を入れてないんだ。でも、もう30年も一緒に暮らしているのだから、相続人になれますよね?
残念ながら、いくら長年連れ添っても、籍が入ってなければ相続人ではないんです。
制度の中には、内縁関係であっても、籍の入った夫婦同様に権利のあるものも存在します。しかし、相続について言えば、残念ながら内縁のパートナーは相続人とはされていません。
相続について規定している法律は「民法」であり、実は婚姻について定めている法律と同じです。そのため、相続においても、法律婚を重視されてしまっているのですね。
相続人は誰?
そうなの?!じゃあ、誰が相続人になるんだろう。
次にお伝えする方々が、相続人になります。
では、相続人は誰なのでしょうか。相続人は、次の通りです。先の順位の人が入る場合には、後順位の人は相続人にはなりません。また、孫は、その親である子が死亡している等により相続人となれない場合に、初めて相続人になります。甥姪も同様です。
第一順位・・子や孫といった直系卑属
第二順位・・親や祖父母といった直系尊属
第三順位・・兄弟姉妹や甥姪
籍の入った配偶者がいれば、上記の人たちと一緒に籍の入った配偶者も相続人になります。
内縁のパートナーを守るために
となると、うちはお互いの兄弟が相続人になりそうだ・・。疎遠になっているから、困るな。何か対策はできますか?
遺言書をつくっておけば、大丈夫ですよ。
内縁のパートナーが相続人ではない、ということはつまり、相続が発生した際、内縁のパートナーは財産をまったく相続できない、ということです。
特別縁故者という制度はありますが、これは上記に規定した法定の相続人が誰もいない場合に初めて登場する概念です。
では、どうすれば良いのでしょうか。
対策としてはやはり、お互いにしっかりと遺言書を作成しておくことです。遺言書があれば、法定相続人であるかそうでないかに関わらず、自分の渡したい相手に財産を渡す事が可能です。もちろん、内縁のパートナーに財産を渡すこともできます。
更に、相続の話とは少し外れますが、判断能力が低下した際の財産管理のため、任意後見契約まで結ばれると、より安心です。
遺留分には注意
ただし、遺言書を作成する際には、遺留分のある相続人がいるかどうかに注意を払う必要があります。遺留分のある相続人は、上記第一順位と第二順位の人、それと、籍の入った配偶者です。
遺留分を有する相続人がおり、更にその遺留分を侵害する内容の遺言書をのこした場合、相続発生後に遺留分のある相続人からパートナーに対し、「遺留分侵害額請求」がなされる可能性があるためです。
遺留分を侵害する遺言書が一概にダメということではありませんが、仮に遺留分を侵害する内容の遺言書を作成する場合には、請求された場合の支払い原資を準備しておく必要があります。
内縁関係の場合には特に、専門家も活用しながら、問題のない遺言書をのこしておきましょう。
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