夫や妻に一切相続させないことは可能か
夫や妻といった配偶者は、相続が起きたとき、原則として、常に相続人になります。これは、長年別居していようと、離婚協議中であろうと、同じです。
しかし、様々な事情で夫や妻には、一切財産を渡したくない、と思う事もあるでしょう。では、遺言書で、夫や妻に一切相続させない、と記載することは可能なのでしょうか。
「遺留分」に要注意
実は、「このような遺言書を作ること自体は可能だが、実際に一切財産を渡さないというのは、難しい」というのが結論です。
これは、どのような遺言書を書いたところで、配偶者には「遺留分」という最低限保証された取り分があるためです。
例えば、遺言書で、全財産をお世話になった第三者に遺贈する、と記載することはできます。そして、その後相続が発生すると、実際にその第三者が、全財産を受け取ることになります。
しかし、配偶者から、その第三者に対して、「自分の遺留分を侵害しているので、その分はお金で返してくれ」という請求がなされる可能性がある、ということです。この請求を、「遺留分侵害額請求」と言い、この請求がなされると、侵害した遺留分に相当する分を、実際にお金で支払わなければなりません。
一切渡したくないのなら、正式な離婚も検討を
そのため、籍が入っている状態のまま、妻や夫に一切財産を渡さないということは困難です。
一切渡したくないのであれば、生前に離婚を成立させておくことも、検討されると良いでしょう。
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