遺言書検認申立をした場合、そこから起こり得る自筆証書遺言特有の問題点とは?

遺言書の検認

自筆証書遺言は、検認が必要

身内が亡くなったあと、遺言書が見つかった。・・通常、遺言書があれば「相続争い」にならずに済むと、胸をなでおろすかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。見つかった遺言書が、公正証書遺言ではなく、自分で書いた自筆証書遺言であった場合には、まず一つの試練を乗り越えなければなりません。その「試練」とは、自筆証書遺言であれば必ず必要な、家庭裁判所での検認手続きです。

個別の財産それぞれにつき、しっかりと行先が指定されている。そして、財産の特定も問題がなく、その他の法律要件を満たしている、遺言執行者も選任されている。このような場合、もしその遺言書が公正証書遺言であれば、遺言執行者が単独で、ある種、粛々と手続きを進めることができます。遺言書の内容に従って、その遺言に納得している相続人がいようがいまいが、金融機関など各手続き先を回り、手続きを進めていけば良いのです。

一方で、その遺言書が自筆証書遺言であった場合には、必ず家庭裁判所での検認を経なければなりません。検認は、「やろうか、どうしようか。」と検討できるものではなく、自筆証書遺言であれば、やらなければ先に進めないのです。

検認から起きうる問題点

では、自筆証書遺言に検認が必要であることで起こりうる問題には、どのようなことが考えられるでしょうか。

1、相続手続きにはいるまでに、時間が掛かる

まず一つは、手続きに入るまでに時間が掛かる点です。通常、どなたかが亡くなると、その方名義の銀行口座は凍結され、そこからお金を引き出すことができなくなります。この凍結を解除し、お金を使えるようにする手続きに自筆証書遺言書を使うためには、その遺言書が検認を終えていなければなりません。では、検認を終えるまでどのくらいの期間が必要かといえば、通常、相続開始から2、3か月程度はかかると考えておいた方が良いでしょう。

検認は、家庭裁判所に遺言書を持って行ってその場で完了するものではありません。まず、検認の申し立て(検認をしてください、という申し込みのようなもの)を行うために、戸籍等の書類を集め、それからようやく申し立て。その後、他の相続人への連絡期間を経て、ようやく検認当日、検認が完了します。そのため、すぐに完了する、というものではないのです。

当然この間、故人の口座にあるお金を使うことはできません。これは残された家族にとって、大きな不利益ではないでしょうか。

2、相続人が集まることで、争いが勃発するリスク

もう一つは、検認の場で相続人が一堂に会することにより、無用な争いが勃発する可能性があるリスクです。検認とは、遺言書の有効無効を判断する場ではありません。あくまでも、その時点での遺言書の状態を保存する手続きです。

しかし、この場で遺言書の内容を知った相続人の中には、その遺言の内容を面白くない、と感じる人もいるかもしれません。

その場合は、「その遺言書は、本当に父が書いたものなのか」とか、「すでに呆けていた父に、無理やり書かせたのではないか」など、その内容の有効性について疑義を唱えられる可能性もあります。その場合であっても、検認の場で、遺言書の有効性について白黒がつけられることはありません。内容について争いがあるのであれば、別途裁判を申し立て、また数か月後の別日に争うことになるのです。

もしこの遺言書が公正証書であったならば、そもそもこのような検認の手続きは必要ありません。また、公証人と証人の面前で作成していますので、本人ではない人が書いたとか、本人の意思ではなかったなどという主張はほとんど通らないことになります。

遺言書があれば何でも良いわけではない

遺言書は確かに、相続争いを防いだり、手続きをスムーズにするために非常に有用な方法です。しかし、このような例もあると知っていただいた上で、「遺言書でさえあれば、なんでも良いわけではない」ということを知っておきましょう。

遺言書は、作って終わりでは意味がありません。ぜひ、その遺言書で残された家族が困らないか、本当に手続きはスムーズになるのか等検討されたうえで、作成されることをお勧めします。

2020年11月追記:2020年7月から、法務局での自筆証書遺言保管制度がスタートしました。この制度を利用した場合には、自筆証書遺言であっても、相続開始後に検認は不要となっています。

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