遺言書で寄付をしたい場合、一方的に指定すれば実現されるのか。

遺言書チェックポイント

遺言書で、寄付ができる

遺言書では、子や配偶者といった家族のほか、お世話になった友人・知人に財産を渡す事もできますし、また活動を応援したい企業や団体、病院などに寄付をすることも可能です。

では、遺言書で寄付をすると書けば、その内容は必ず実現するのでしょうか。

遺言書に書いても、受け取りは強制できない

実は、遺言書で寄付をすると書いたからと言って、必ずしも実現されるとは限りません。遺言書で寄付をすると書いたところで、相手方に受け取る義務が生じるわけではないためです。

例えばあなたに、行った事もないような遠い場所で、しかも価値も安く、使い勝手の悪い土地をあげると言われても、管理の手間などを考えると「いらない」という場合もあるでしょう。同じように、せっかくの善意ではあっても、相手方にとっていらないものであれば、受け取ってもらえないのです。

多くの団体や企業では、ちょうど敷地を拡充したいときにその隣の土地を寄付される、といったような特別な事情のない限り、土地などの不動産は受け取りません。また、上場していない株などをもらっても困りますから、これも受け取らないことが大半です。

預貯金なら、100%受け入れてもらえる?

比較的受け入れてもらえる可能性が高いのは、現金や預金など、そのまま使える「お金」です。これであれば、そのまま使えるので、多くの場合、感謝してもらえるでしょう。

しかし、お金ならすべての団体や企業が受け取ってくれるのかと言えば、実はそうとも限りません。団体によっては、事務処理の負担や、受け入れたことによる税金面の負担、その他の不安等や運営の考え方などから、お金であっても受け入れない場合があります。

私は、遺言書の作成をサポートする際に「あの団体に寄付を考えている」という遺言者様の希望を受けて何か所かの団体や企業に金銭での寄付を受け入れているか確認したことがありますが、その約半数が、「ご厚意はありがたいのですが、受け取れません」との回答でした。受け入れない企業や団体は、意外と少なくないのです。

事前に確認をすれば遺言書を書く段階でわかりますので、寄付先を変えれば良いだけですが、この確認を怠ると、実際に相続が起きてしまってから寄付を断られ、寄付する予定であった財産が宙に浮いてしまうことになります。

そのため、団体や企業に寄付をする際には、あらかじめ、受け入れる体制があるのか、確認されると良いでしょう。

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