遺言は夫婦連名で作成できる?知多半島の遺言作成相談

遺言書の基本

「大切なことは、いつもご夫婦で話し合って決めてきた」というご夫婦もいらっしゃることでしょう。遺言書の作成にあたっても、ご夫婦で相談して検討することもあるかと思います。

では、遺言書をご夫婦の連名で作成することはできるのでしょうか。

夫婦連名での遺言書は無効

結論からお伝えすると、残念ながらご夫婦連名の遺言書は無効です。

無効となる夫婦連名の遺言書とは、例えば次のようなものです。

私、なごみ太郎は、妻の花子に全財産を相続させる。

私、なごみ花子は、夫の太郎に全財産を相続させる。

令和3年7月10日 なごみ太郎 印  なごみ花子 印

このような連名の遺言は無効ですので、作成しないようにしましょう。

遺言書のルールは民法に定められている

なぜ、夫婦連名の遺言が無効なのでしょうか。

その理由は、民法に下記の条文があるためです。

(共同遺言の禁止)
第九百七十五条 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。

このようにはっきりと、共同遺言が禁止されているのです。

遺言は、いくらご夫婦とはいえ、夫は夫の、妻は妻の意思でそれぞれ自由に行うべきものです。連名での遺言書が認められてしまえば、立場の弱い人が立場の強い人に無理やり遺言を作らされてしまうかもしれません。

また、連名の遺言書はその手続きの際やその遺言書の有効性の判断などでも非常に煩雑となってしまうことでしょう。

そのため、夫婦連名などの共同遺言は、民法で禁じられているのです。

遺言書はそれぞれ別の用紙で作成すべき

前述のとおり、たとえご夫婦であっても連名での遺言は無効となってしまいます。

そのため、遺言書は必ず1人1通、別々で作成するようにしてください。

せっかくの遺言書が無効になってしまえば、いくら後悔してもしきれないことでしょう。遺言書を作成する際は、あらかじめ要件をしっかりと確認の上、要件に沿う形できちんと作成するようにしましょう。

この記事を書いた池邉からひとこと

この共同遺言の禁止を始め、遺言書には様々なルールがあります。遺言書はご自身の亡き後に誰に財産を渡すかを決めておく非常に重要な書類ですので、ある意味で当然だと言えるでしょう。

また、たとえ法律上の要件を満たしていても、手続き上の問題がある遺言書は少なくありません。

問題のない遺言書をつくることは意外と簡単ではありませんので、できれば無理に自分ひとりで作成するのではなく、専門家へ相談のうえで作成されることをおすすめします。

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