遺言に有効期限のようなものはある?常滑半田の遺言作成さサポート

遺言書の基本

遺言書は万が一に備えて早めに作成しておくことが望ましいと言えます。

しかし、「あまり早くに作ってしまうと、有効期限が切れて使えなくなってしまったり無効になってしまうのではないか」と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、遺言書自体に有効期限はあるのかという点と、公正証書で作成した場合の公証役場での原本の保管期限について解説します。

遺言に期限はあるのか

まずは、遺言書に有効期限のようなものはあるのかどうかについて見ていきましょう。

遺言に期限はない

結論をお伝えすれば、遺言書に有効期限はありません

遺言書は民法により満15歳になれば作成できることになっていますが、例えば20歳の時に遺言をつくり80歳で亡くなったとしても、特に遺言書を書き換えたりしていない限りは、その遺言書は有効なのです。

早くに作ったからといって期限が切れてしまうということはありませんので、この点はご安心ください。

期間の経過とともに状況が変わる可能性はある

しかし現実的に言えば、早くに遺言書を作った場合にはその後の状況の変化により、遺言書の内容が現状と合わなくなってしまう可能性はあります。

これについては、下記のように対応をすると良いでしょう。

預貯金額の変動や預貯金口座の解約や新規開設など軽微な財産の変化

預貯金口座を解約したり新たに開設したり、また普通預金を定期預金に振り替えたりといった財産の変動は日々あることかと思います。

これらが固まってから遺言書を作ろうと考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、生きている以上財産額は変動しますので、これを待って遺言書を作ろうとすればいつまで経っても遺言書は作れません

そのため、このような軽微な変動については、遺言書の書き方の工夫で対応すると良いでしょう。

例えば、下記のような遺言を作ってしまえば、以後の変動への対応が難しくなります。金額のバッファーがなく、もし預貯金額が変動したらどうすべきか記載がないためです。

下記の私の預貯金のうち、長男の太郎に太郎に2,000万円を相続させ、残りの1,000万円を二男の次郎に相続させる。

一方で、次のような記載であれば、預貯金の額が多少変わったとしても問題ありません。

下記の私の預貯金のうち、長男の太郎に2,000万円を相続させ、残額はすべて二男の次郎に相続させる。

下記の私の預貯金は、長男の太郎に3分の2、二男の次郎に3分の1の割合でそれぞれ相続させる。

このような幅を持たせた記載をすることと合わせて、その他の預金があった場合の取り扱いについても定めておくと良いでしょう。

他にも、預貯金の記載には様々な工夫が可能です。どの書き方が最も優れているということはでなく、遺言者様のご希望や今後の見立てなどによってどのように記載するかを工夫し、選択してください。

土地を購入したなど大きな財産の変化

土地を購入したなどの大きな財産の変化が予想されている場合には、その遺言の内容によって対応が異なります。

例えば、今後増えた財産も含め誰かに包括して相続させたいという場合には、その旨を付記した上で先立って遺言書を作成することも1つでしょう。包括相続であれば、基本的には遺言書作成後に増えた財産もその対象となるためです。

一方、その土地は包括相続の相手ではなく別途誰かに相続させたいと考えているのであれば、土地が増えた時点で新たに遺言書を書き直したほうが良いでしょう。

この辺りは判断が難しい部分ですので、ぜひ遺言書の作成サポートを依頼する専門家へ相談してください。

人間関係の変化

例えば財産を渡そうと思っていた相手との関係が悪化してしまったなど財産を渡したい相手が変わった場合には、遺言書を書き直したほうが良いでしょう。

とは言え、「今後関係が変わるかもしれないから」といつまでも遺言書を作らずにいれば、結局タイミングを逃して遺言書を作らないままとなってしまう可能性が高いと言えます。

そのため、この点は「もし今後関係性が変わってしまったら、その時点で書き直そう」とある程度割り切っていただき、その時点でのお気持ちに沿ってまずは遺言書を作成してください。

公正証書遺言の保管期限は?

さて、遺言書自体に有効期限がないのは前述のとおりですが、その保管期限はいかがでしょうか。

公正証書で遺言を作ると、お手元には謄本や正本が交付され、原本は公証役場で保管されます。

この謄本や正本はそのまま相続手続きに使えますので、交付された謄本や正本を紛失さえしなければ、原則として公証役場で保管されている原本を見る必要はありません。しかし、いざ謄本や正本を失くしてしまったり相続が起きてから他の相続人が謄本や正本を隠して見せてくれなかったりという場合には、公証役場から再度謄本を取り寄せる必要があります。

こうした際に、保管期限が終了して謄本が取得できなくなってしまっていては、大変困った事態となってしまうことでしょう。

では、公正証書遺言の原本は公証役場にどのくらいの期間保管されるのでしょうか。

公正証書の保管は原則20年

公正証書の保管期限は、公証人法施行規則で次のように記載されています。

第二十七条 公証人は、書類及び帳簿を、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる期間保存しなければならない。ただし、履行につき確定期限のある債務又は存続期間の定めのある権利義務に関する法律行為につき作成した証書の原本については、その期限の到来又はその期間の満了の翌年から十年を経過したときは、この限りでない。
一 証書の原本、証書原簿、公証人の保存する私署証書及び定款、認証簿(第三号に掲げるものを除く。)、信託表示簿 二十年

つまり、公正証書の原本は、原則として20年保管されることとされているのです。

遺言は遺言者が120歳になるまでくらいは保管される

しかし、遺言書の原本保管まで20年となれば、少し不安に感じる方も多いのではないでしょうか。実は、先ほどの公証人法施行規則27条には、次のような続きがあります。

3 第一項の書類は、保存期間の満了した後でも特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある間保存しなければならない。

遺言は、この「特別の事由により保存の必要がある」ものに該当すると考えられているため、20年で原本が破棄されてしまうとの運用はされていません。

公正証書遺言の原本は、原則として遺言者様が120歳になるまでくらいの期間は保管されているようです。日本の歴代最高齢の方は2021年時点で117歳ですので、これを参考に120歳としているものと思われます。

なお、お客様の遺言書のサポートをする際に公証役場へ同席する機会が多いのですが、その際に公証人に雑談しつつ聞くところによると、実際には120歳になっても特に破棄などはせず、そのまま保管されているケースが多いようです。

公正証書遺言の原本はこのように長期間保存されていますので、存命のうちに保管期限が切れてしまうことは心配しなくても良いでしょう。

この記事を書いた池邉からひとこと

遺言書には有効期限もなければ、公正証書遺言の原本もかなり長く設定されています。そのため、期限を気にすることなく早くから遺言書を作ることが可能です。

とは言えあまり早く作ってしまうと、その後の状況の変化で遺言書を書き直さなくてはならない手間が生じることを懸念される方も少なくないでしょう。

もちろん、渡したい相手が変わったなどであれば書き直さざるを得ません。しかし、軽微な財産の変化であれば、書き直さなくて良いように様々な工夫が可能です。また、その後起きうる状況の変化に備えた文言を入れておくこともできます。

この辺りは専門家としての腕の見せどころでもありますので、ぜひ遺言書の作成をご検討の際は、弊所のサポートをご利用ください。

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