遺言での寄付、自治体に財産を渡すことは可能?|常滑の遺言作成相談

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遺言で財産を渡す相手は、相続人に限られるわけではありません。遺言があれば相続人以外の親族や他人にも財産を渡すことができるほか、活動を応援したい団体や法人に財産をわたすことも可能です。では、遺言で、自治体に財産を寄付することは可能なのでしょうか。この記事では、自治体への遺贈の可否や注意点などについて解説します。

遺言で自治体に寄付をすることはできる?

それではまず、遺言書で自治体に寄付することはできるのかどうか見ていきましょう。

寄付(遺贈)をすると書くのは自由

結論をお伝えすれば、遺言で自治体に財産を寄付すると記載することは可能です。

遺言で財産をわたす相手には特に制限はなく、法人や団体へ寄付できることと同様、市町村や都道府県といった自治体に対して寄付をすることもできるのです。

なお、遺言の表現としては一般的に「寄付する」ではなく「遺贈する」という表現となります。

遺言で自治体に寄付をする場合の注意点

では、遺言で自治体に寄付をする際、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。ここでは、3つの注意点をご紹介します。

いらない財産を押し付けることはできない

遺言で寄付(遺贈)すると書くことが自由である一方で、相手にとっても受け取る義務が生じるわけではありません。例えば、「A市に次に記載の土地を遺贈する」と書いたところで、A市はその遺贈を拒否(放棄)することができるのです。

そのため、例えば使い勝手も悪く売れないような土地や空き家を、その処理に困って自治体に遺言で押し付けるようなことはできないと考えてください。

遺言執行者を定めておく

遺言で寄付をする場合には、ぜひ遺言書の中で遺言執行者も決めておいてください。遺言執行者とは、その遺言を実現する責任者のことをさします。

遺言での寄付は「遺贈」の一種なのですが、遺贈をするには遺言執行者か相続人全員の協力が不可欠です。相続人全員でとなると相続人の中に反対する人がいれば手続きが難航してしまいますし、特に反対する人がいなくてもいちいち相続人全員の捺印等が必要となれば非常に煩雑でしょう。

そのため、寄付を含む遺贈をしようとする場合には、遺言執行者を定めておいてください。なお、遺言執行者は相続が起きてから家庭裁判所へ申し立てて選任してもらうこともできますが、やはりはじめから遺言書に書いておいたほうがスムーズです。

受け取り拒否をされた場合の第二希望を書いておく

遺言書で財産を渡すと書いた相手に受け取る義務がない以上、たとえ使い勝手が悪くないものであっても受け取りを拒否されてしまう可能性はゼロではありません。

たとえば、きちんと事前に打診をし、「その土地なら有り難くいただく」との回答を得ていたとしても、その後状況が変わったり担当者が変わったりすることで、いざ相続が起きたてから「やはりお断りしたい」と言われてしまう可能性もあるのです。

そのため、特に預貯金以外の財産を遺言で自治体に寄付しようと考えている場合には、万が一自治体に受取拒否をされてしまった場合の第二候補の遺贈(寄付)先まで遺言書で定めておくと、なお良いでしょう。

いらない土地がある場合にはどうすれば良い?

遺言で自治体に遺贈をすることはできるものの、いらない財産を遺贈すると書いた場合には受取拒否をされてしまう可能性が高いことは、前述のとおりです。

そのため、なかには家族の誰も使わなくなってしまう土地を自治体に遺贈しようと考えていた方もいらっしゃるかもしれませんが、遺言に書いたからと言って解決する問題ではありません

では、家族の誰も使わなくなってしまう土地を持っている方は、その土地をどのように処分すれば良いのでしょうか。考えうる方法をご紹介します。

自治体に寄付を打診する

1つは、自治体に寄付を打診することです。

もちろん寄付を申し出たからといって必ずしも受け取ってもらえるわけではありませんが、可能性がゼロということではありませんので、「ダメ元」的ではありますが、打診をしてみると良いでしょう。

近隣の土地所有者にもらってもらえないか打診する

また、近隣の土地を所有している人に安く買い取ってもらったり無償でもらってもらったりできないか、打診をしてみることも1つでしょう。

隣地を持っている人であれば、買い取ってくれるかもしれません。

相続放棄をする

相続が起きてからいらない土地を手放すには、相続放棄をすることも1つです。

ただし、相続放棄をするとはじめから相続人ではなかったことになり、財産を相続する権利は一切なくなります。例えば「この土地はいらないけど預貯金は欲しい」と言った都合の良いことはできませんので、この点はよく理解しておいてください。

また、その順位の相続人が全員相続放棄をすると、次の順位の人へ相続の権利が権利が移ることも知っておきましょう。例えば、被相続人の子が全員相続放棄をしたからと言ってそれで片付くわけではなく、被相続人の両親や兄弟姉妹が相続人になってしまうのです。

さらに、第三順位の相続人までが全員相続放棄をしたからといって、すぐに不要な土地との関係が切れるわけではありません。土地が国庫へ帰属するまでの一定期間、その土地を管理する義務は残ってしまうためです。

いらない土地を手放すために相続放棄を検討する際は、こうした点も踏まえてよく検討してから放棄をするようにしましょう。

相続土地国庫帰属法を活用する

令和3年、相続土地国庫帰属法が成立しました。これは、相続登記を3年以内に行うことが義務化されたことに伴い、相続した不要な土地を放棄できるようにした法律です。

相続土地国庫帰属法を活用すれば、相続した土地のうち不要な土地だけを国に帰属させることが可能です。ただし、この法律を使って国に帰属させるためには、更地であることや権利関係の争いがないことなどの要件があるほか、10年分の管理費を支払う必要がありますので、この点も知っておきましょう。

相続土地国庫帰属法は、2024年までに施行される予定です。

この記事を書いた池邉からひとこと

遺言で財産を渡す相手に制限はありません。もちろん、財産を自治体へ寄付する内容の遺言を作ることも可能です。

しかし、本文でも記載したとおり、遺言書に書くことができるかどうかと実現できるかどうかは別の問題です。自治体へ財産を寄付すると書いても、自治体が受け取りを拒否すれば、その遺贈を実現することはできません。

遺言書をつくる際には、その遺言は問題なく実現できるだろうかと言った点からもぜひ内容を検討するようにしてください。とは言え、相続手続きに慣れていなければ、この検討をすることも容易ではありません。相続が起きてから実現が難しい遺言でご家族を困らせてしまわないために、ぜひ遺言を作る際には弊所のサポートのご利用をご検討頂きたいと思います。

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