相続人を養子縁組によって増やすと、相続税は安くなるのか。

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相続税の基礎控除とは

相続税の基礎控除って、どうやって考えれば良いのかしら。

相続税の基礎控除は、財産総額がその額以下なら相続税がかかりませんよという、1つの基準になります。また、財産総額が基礎控除額より多い場合には、基礎控除額を超える部分に対して相続税がかかります。

相続税は、原則として亡くなった人が亡くなった時に保有していた財産に対してかかります。

しかし、相続税はすべての人に対してかかるものではありません。亡くなった方が亡くなった時に持っていた財産に、過去3年以内に相続人に贈与した財産など一定の財産を加算した金額が、基礎控除額を超えない場合には、相続税はかからないのです。

一方で、亡くなった人が持っていた財産等の合計が基礎控除額を超える場合には、財産総額から基礎控除額を引き、のこった部分について税金がかかるイメージです。

相続税の計算上、基礎控除額が大きなポイントになることが、お分かり頂けるかと思います。

相続税の基礎控除額の改正

平成27年1月1日から施行されている改正で、この基礎控除額は縮小されました。では、現在の基礎控除額はいくらなのでしょうか。

基礎控除額は、「3,000万円+法定相続人数×600万円」で計算をします。

仮に法定相続人が3人であれば、3,000万円+3人×600万円で4,800万円、法定相続人が4人であれば、同様の計算で5,400万円となります。ご自身のケースに当てはめて、知っておくと良いでしょう。

なお、小規模宅地の特例など様々な特例を使わない状態で、財産総額が基礎控除額以下であれば、相続税の申告自体が不要ということになります。この意味でも、基礎控除額を知っておくことは重要なのです。

養子を増やしたら、相続税は安くなるか

良いことを考えたわ!うちは孫が5人いるので、5人全員を養子にしたら基礎控除が増えて、相続税は0にできるんじゃないかしら。

残念ながら、基礎控除の計算上カウントできる養子の人数には、制限があるのです。

相続税の基礎控除額を「3,000万円+法定相続人数×600万円」で計算しますので、法定相続人を増やすと、それだけ基礎控除額が増えます。

しかし、この計算上カウントできる普通養子の数には、制限がかけられているのです。

(遺産に係る基礎控除)
第十五条 相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格(第十九条の規定の適用がある場合には、同条の規定により相続税の課税価格とみなされた金額。次条から第十八条まで及び第十九条の二において同じ。)の合計額から、三千万円と六百万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額(以下「遺産に係る基礎控除額」という。)を控除する。
2 前項の相続人の数は、同項に規定する被相続人の民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人の数(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める養子の数に限るものとし、相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人の数とする。)とする。
一 当該被相続人に実子がある場合又は当該被相続人に実子がなく、養子の数が一人である場合 一人
二 当該被相続人に実子がなく、養子の数が二人以上である場合 二人

つまり、5人の孫を全員養子にすること自体は自由である一方で、たとえ5人全員を養子にしても、相続税の計算上カウントできる養子は、そのうち1名(家子さんに実子がいなければ、2名)までなのです。

養子をたくさん取っても、その分だけ相続税が安くなるわけではありませんので、こちらも知っておかれると良いでしょう。

相続税のためだけに養子にすることの問題点

そうなのね・・じゃあ、養子に入れるのは1人だけにするわ。

養子縁組は、慎重に検討して決めた方が良いと思います。

養子をたくさん取ってもその分だけ相続税を減らせるわけではありませんが、確かに1人(実子がいなければ2人)までは基礎控除額の計算に参入できますので、その分相続税を減らすことは可能です。

しかし、もちろんゆくゆくは家を継がせたいなど特段の事情がないにもかかわらず、税金が安くなるからという理由のみで、安易に養子縁組をするのはあまりお勧めできません

相続の面からみれば、養子になる以上、その子は相続税の計算上カウントできるのみではなく、相続での取り分も発生します。例えば長男と次男がいて、それぞれに孫がおり、長男の子だけを養子としたような場合には、家単位で見れば不公平感が生じます。

このあたりで相続争いの原因となってしまわないよう、予めよく話し合われる必要があるでしょう。

また、それ以上に、養子になるということは身分関係を大きく変更することになるわけで、そのあたりの重みの感覚が養子や、養子の周りの人(例えば、養子が既に結婚しているのであれば、養子の配偶者など)と一致しているかどうかも確認される必要があります。

このあたりはご家族やその方によって感覚が異なるところですので一概に言えるところではありませんが、養子縁組をされる際は節税のメリットのみを見るのではなく、長期的な視点でご家族よく話し合われたうえでご検討されることをお勧めします。

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