民法相続法改正と再婚。~配偶者居住権の活用

再婚と相続

再婚と、相続

昨今では、再婚は決して珍しいことではありません。また、既に子が巣立ってから、比較的晩年での再婚をされる方も増えている印象で、実際に私の身近でもよく耳にします。

ここでは、再婚の場合の自宅不動産と遺言書に焦点を当てて、解説していきます。

妻には生涯安心して暮らして欲しいが・・

僕と妻は子が巣立ってからの再婚なんだ。僕の亡くなった後も妻には安心して自宅で暮らしてほしいけど、その後妻が亡くなったときは、妻の子じゃなくて自分の子に不動産を渡したくて。そんなことって、可能なんだろうか。

新しくできた、配偶者居住権を検討してみましょう。

ここでは、例えば、お互いに子があるものの、既にそれぞれの子は巣立った後で再婚をした夫婦を想定してお伝えします。

比較的晩年での再婚の場合、下記のような悩みを抱える方も少なくありません。

「自宅不動産では、自分の亡きあとも、妻には亡くなるまで安心して自宅で暮らしていってほしい。ただ、その妻が亡くなったあとは、妻の子ではなく、自分の子である長男に自宅不動産を戻してあげたい。」

このようなお悩みは、「私の亡きあとは、自宅不動産は妻に相続させる。その後、妻も死亡した際には、この不動産を私の長男に相続させる」といった遺言を書くことができれば解決でしょう。

しかし、このような遺言は「後継ぎ遺贈」と呼ばれ、残念ながら後段部分は無効です。

一旦、妻のものとなった自宅不動産を、その後妻がどうしようが自由、ということですね。

これまでの「妥協策」

妻にも遺言書を作成してもらう方法

そのため、これまでは苦肉の策として、自身はこの不動産を妻に相続させるという内容の遺言書を作成する一方で、妻の側には、妻が亡くなった場合にはこの不動産を長男に遺贈するという遺言書を作成するようお願いできるに留まっていました。

しかし、この場合には実際に妻が希望する通りに遺言書を書いてくれるかどうかわかりませんし、仮にいったん妻が希望の内容で遺言書を作成したとしても、後から「やはり夫の子ではなく、自分の長女に相続させる」などと、遺言書を書き換えられてしまうかもしれません。遺言書は、いったん作成しても、何度でも書き直しが可能であるためです。

最初から子に相続させる方法

また、別の方法として、最初から長男に相続させるという遺言書を作成しておく方法もあります。しかし、長男が後から気が代わり、妻を追い出してしまう可能性も0ではありません。こちらもまた、リスクです。

民事信託を活用する方法

更に、民事信託を利用する方法もありますが、まず信頼できる受託者を探す点でハードルがあります。受託者を業務として受けるのであれば、免許が必要となりますので、例えば行政書士や司法書士といった専門家は、通常、受託者とはなれません。業務としてサポートする人では駄目ということです。つまり、通常はご家族やご親戚などが受託者となります。また、信託の設計には高度な知識と将来の想定が必要であり、どうしても比較的高額になってしまうことも、選択が難しい理由の一つではないでしょうか。

配偶者居住権の創設

このような問題は、改正により創設された配偶者居住権を利用することで、解決できることとなりました。

この制度により、自宅不動産という1つの財産を、「配偶者が死亡するまで無償で自宅に住む権利」と、「自宅不動産の所有権」とを分けて遺贈することができるようになったのです。

つまり、上記の例では、配偶者居住権を妻に遺贈する一方、自宅不動産自体は実子である長男に相続させる、という遺言書を作成することが可能になったのです。

配偶者居住権は「後継ぎ遺贈」ではありませんが、実質的に後継ぎ遺贈「的な」ことを実現することができるようになりました。

配偶者居住権を活用した遺言書の作成を

そもそも、再婚の場合で遺言書がないと、相続発生時、後妻と、前妻との子とが遺産分割協議をしなければならず、トラブルに発展してしまう可能性が少なくありません。

そのため、特に子が巣立った後など晩年に再婚をされるのであれば、遺言書の作成は必須です。

その際には、改正により創設された配偶者居住権を利用することも一つでしょう。

ただし、配偶者居住権を相続した人には売却する権利までは無いなど、良いことばかりではありません。また、例えば配偶者の居住中に発生した修繕などは所有権を相続した人(上記の例では、長男)が支払う必要があり、ここからトラブルになる可能性も否定できません。

そのため、遺言書が無理に一人で考えるのではなく、専門家にも相談し、更に当事者である妻や子ともよく話し合ったうえで遺言書を作成されることをお勧めします。

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