遺言書の見直しポイント~預貯金は金額の変動余地を残してあるか

遺言書チェックポイント

遺言書は、法的要件だけ満たせば良い?

遺言書をつくるとき、やはり多くの人がまず気にするのは、法的要件。確かに遺言書には形式上の要件も多く存在し、その要件を満たさなければ、せっかくの遺言書が無効になってしまいます。

しかし、法的要件はあくまでも、遺言書が遺言書であるための最低限の要件でしかありません。実際に相続が発生し、スムーズに手続きをするため、また、無用な揉め事を防ぐためには、法的要件を満たすのみでは不十分です。

ここでは、遺言書の見直しのうち、「預貯金は、金額の変動余地をのこしているか」という点に焦点をあて、解説していきます。

預貯金の金額まで書く必要はない

遺言書をつくる際、「でも、これからも生きていくから、預貯金はまだ書けないよね」とおっしゃる方が、少なからず存在します。

しかし、遺言書では財産の特定ができれば問題ありません。むしろ変動の可能性のたかい預貯金額を書いてしまうと無用なトラブルの原因となりかねませんので、特段の事情のない限り、金額までは書かない方が良いでしょう。

では、どのように分配するのか

それでは、預貯金を2人以上の人にわけて相続(遺贈)させたい場合、どのように記載すれば良いのでしょうか。

いくつかの方法がありますが、いくつか例を挙げると、

  1. Aさんに100万円、Bさんに200万円、残りをすべてCさんというように、残りを分配する人(Cさん)の金額を書かない方法
  2. X銀行の預貯金はAさん、Y銀行の預貯金はBさんというように、銀行や口座番号ごとに渡す相手を変える方法
  3. 遺言執行者が換金したあとの金額を、Aさんに3分の1、Bさんに3分の2といったように、割合で特定する方法

などが考えられます。

ただし、それぞれの方法によって、異なるリスクが存在します。

例えば「1」の方法では、最後にのこった預貯金が100万円+200万円=300万円よりも少なかったらどうするのか、ということを検討しておかなければなりません。

「2」の方法では、X銀行の口座自体を今後解約したらどうするのか、といった具合です。

そのため、実際に遺言書を作る際には、それぞれのリスクを洗い出したうえで、今後起きうる可能性や家族状況・財産状況を考慮して、最適な方法を検討する必要があります。

安易に考えてしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまう危険性がありますので、注意しましょう。

遺言書で最も避けるべき預貯金の書き方

いずれにしても、例えば今現在の預貯金500万円だからといって、「Aさんに200万円、Bさんに300万円をそれぞれ相続させる」といった書き方は避けた方が良いでしょう。金額は変動した際にどうなるのか不明なため、トラブルの原因となりかねない為です。

遺言書を作る際には、今後起きうる可能性を一つずつ検討しながら、状況の変化に対応できるように作成するようにしましょう。

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