相続法改正で成立した配偶者短期居住権
2018年7月に成立した改正相続法。その目玉の一つとなる制度が、配偶者の居住権をまもるための施策です。
配偶者の居住をまもるための制度としていくつかの制度が創設されましたが、ここではその中でも、配偶者短期居住権について解説します。
配偶者短期居住権とは
では、配偶者短期居住権とはどのような制度なのでしょうか。
これは、まずどの場合に出てくる話なのかと言えば、遺産分割協議の結果、配偶者以外の人が配偶者が住んでいる不動産を取得したとしたり、遺言書により他の人がその不動産を取得したり、また配偶者が相続放棄をしたような場合です。
このような場合、配偶者の住んでいる不動産を取得した人から配偶者が、いきなり出て行けといわれてしまったり、住みたいなら賃料を支払えと言われてしまうケースが存在しました。
このような場合であっても、少なくとも6か月間は賃料を払うことなく住み続けられますよ、という制度が短期配偶者居住権です。
配偶者の居住を本当に守りたいなら、遺言書の整備を
本制度により、少なくとも6か月は突然の転居を強いられることはなくなったわけですが、とは言え長期的な視点で見れば、根本的な解決にはなりません。
そこで、これから遺言書を作成されるなどの終活を行う場合には、やはり自身亡きあと、配偶者はどこに住むのか、もめないためにどうしたら良いかなど、状況に応じてしっかりと検討し、場合によっては配偶者を含めた家族と話し合いの場をもったうえで、慎重に検討していくべきです。
この制度を使用するということは、すなわち「明日、いきなり」ではないにせよ、配偶者が住み慣れた自宅から離れざるを得ない状況なわけです。その期間の猶予として、6か月という一応の期間が設けられたにすぎません。
相続が起きた後にお無用なトラブルと防ぐためには、残す側がしっかりと検討し、遺言書などの整備を行っておくことが不可欠なのです。
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