法定相続情報証明制度 って?
2017年5月29日から、新たに「 法定相続情報証明制度 」がスタートしました。
これは、相続発生後、銀行や証券会社、法務局など様々な手続きに必要な<戸籍や除籍の束と、その内容を記した相続関係説明図>を、申出書等所定の書類とあわせて一度法務局に提出すると、提出した相続関係説明図をもとに「法定相続情報証明書」が作成され、以後の金融機関等の手続きは<戸籍や除籍の束>ではなく、その「法定相続情報証明書」で行うことができる、という制度です。
法定相続人が妻のみである場合の必要書類。
この制度を利用するためには、相続人の状況に合わせて必要な戸籍や除籍を集め、それを元に相続関係説明図を作成する必要があります。例えば、仮に「亡くなったのが太郎さん、相続人が妻の花子さんのみ。なお、太郎さんには元々兄の一郎さん、姉の良子さんがいたが、二人とも、太郎さんより先に死亡。一郎さん・良子さんにはいずれも子供はいない」という場合には、相続関係を証明するために、次の書類が必要になるわけです。
- 太郎さんの出生から死亡までの連続した戸籍・除籍・原戸籍謄本
- 太郎さんの母の出生から死亡までの連続した戸籍・除籍・原戸籍謄本
- 太郎さんの父の出生から死亡までの連続した戸籍・除籍・原戸籍謄本
- 一郎さんの出生から死亡までの連続した戸籍・除籍・原戸籍謄本
- 良子さんの出生から死亡までの連続した戸籍・除籍・原戸籍謄本
- 太郎さんの最後の住所がわかる住民票の除票
- 花子さんの戸籍謄本
- 花子さんの住民票(これは相続関係説明図に住所を記載する場合のみ必要ですが、実際の手続きをする際に必要になる事が多いので、取得して、相続関係説明図にも住所も記載しておきましょう)
なぜ、両親の出生までさかのぼる戸籍や除籍が必要?
では、この場合、なぜ太郎さんの両親の出生までさかのぼる戸籍等までが必要になるのでしょうか。
相続人の順位は、第一に子や孫といった直系卑属、第一順位の相続人がいなければ、親などの直系尊属、そして第一順位第二順位のいずれもいなければ、兄弟姉妹が第三順位の相続人になります。
そのため、相続人が妻の花子さんだけ、というためには、「太郎さんに子がいないこと」「太郎さんの両親は既に他界していること」そして、「太郎さんの父、母の子は、既に亡くなった一郎さんと良子さん以外にはいないこと」を証明する必要があるのです。
戸籍は、転籍や戸籍法の改正などで、古いものが閉じられ、新たな戸籍が作成されます。この新たな戸籍には、実は古い戸籍の中の情報のうちすべては載ってきません。例えば、古い戸籍の中で子がうまれたとしても、新たな戸籍に変わる前に、婚姻等の事情でその戸籍から抜けていれば、新しい戸籍にはその子の存在は載ってきません。
この場合、もし太郎さんの父や母に、「太郎さん、故人である一郎さん、故人である良子さん」以外に子がいれば、これはつまり太郎さんの兄弟姉妹であり、その人も太郎さんの相続人になります。
そのため、「太郎さんの兄弟姉妹(=太郎さんの父、母の子供)は、本当に一郎さんと良子さんだけで、他にはいません」ということを証明するために、太郎さんの父、母それぞれの出生までさかのぼる戸籍や除籍、原戸籍を取得する必要があるのです。
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