遺言書の作成にかかる費用をけちった結果、残された家族が困るケースとは。

遺言書失敗例

公正証書遺言と自筆証書遺言どちらが良いか

遺言書には、大きく分けて、公正証書遺言と、自筆証書遺言の二つが存在します。公正証書遺言とは、公証役場で作成する遺言書。そして、自筆証書遺言は、自分で書く遺言書です。

このうち、自筆証書遺言は、公証役場に出向く必要がなく手軽ですし、またお金もかかりません。そのため、遺言書をつくる側からすれば、負担の少ない方法と言えます。

しかし、ちょっと待ってください。そもそも、遺言書は、「何のため」に作るのでしょうか。

遺言書は、つくることがゴールではない

当然ですが、遺言書は「作ること」がゴールではありません。実際に相続が起きた後、予想されるトラブルを予防し、かつスムーズに手続きができて初めて、遺言書の役割を果たしたといえます。

このような視点で考えたとき、残される側にとっては、自筆証書遺言で作成した遺言は、不安が残る方法なのです。

自筆証書遺言のリスクを知っておこう

では、具体的に、自筆証書遺言で作成した場合には、どのような問題が考えられるでしょうか。

いくつかありますが、代表的なものとしては、下記のようなものが考えられます。

無効になるリスクが高い

まずは、無効になるリスクが高いことが挙げられます。

自筆証書遺言はやはり自分ひとりで作成することが多いため、法的な要件を満たさず無効となってしまう可能性が高いのです。また、法的な要件という最低限のラインをクリアしていても、財産の特定があいまいであったり、表現が何通りにも解釈できてしまったりと、残された側や手続き先が判断しかねる内容も、少なくありません。

手続きに時間がかかる可能性

そして、手続きに時間がかかるリスクもあります。

自筆証書遺言は、公正証書遺言と異なり、相続が起きた後、家庭裁判所での検認の手続きを経なければ、名義変更などの手続きに使うことができません。検認は、家庭裁判所に持っていけばその場で完了する、という性質のものではなく、申し立てに必要な書類を集めたり、相続人への連絡期間を設けたないのです。その間、故人の銀行口座の解約などの相続手続きは進めることはできません。

紛失や隠匿、偽造等のリスク

更に、紛失や隠匿のリスクもあります。

自筆証書遺言は、その用紙自体が原本ですから、万が一失くしてしまったら、再発行は不可能です。

また、場合によっては、内容に不満を持つ相続人が遺言書自体を隠匿したり、書き換えてしまったりする可能性も捨てきれません。これは、非常に大きなリスクではないでしょうか。

一方、公正証書遺言は、公証役場に原本が保管されるため、いくら手元の用紙自体を紛失する等しても、いくらでも再発行が可能です。

手続き先での信用度リスク

最後に手続き先での信用度のリスクです。自筆証書遺言は、前述のとおり内容が曖昧であったり、解釈が困難であるものも少なくありません。そのため、金融機関など手続き先にとっての信用が、公正証書遺言に比べて圧倒的に低いのです。場合によっては、他の相続人全員の押印がなければ、払い戻しに応じられないとの対応をされることも、少なくありません。

こうなってしまっては、本末転倒です。残された家族が話し合いでぶつからないように、又は相続人の中に認知症など、押印が難しい人がいるので、こういった問題を解決しようとして遺言書を作成したはずです。

自筆証書遺言はお勧めしない

このように、自筆証書遺言は、思った以上に残された家族に負担をかけてしまう可能性が高いのです。

遺言書を作る際、確かに目先の費用負担や手間についても重要な問題でしょう。しかし、そもそも遺言書は、残された家族のために、問題なく手続きができるようにとの想いで、作るものであるはずです。自筆証書遺言のデメリットをしっかりと把握された上で、どのような方式で遺言書を残すのか、改めてご検討頂きたいと思います。

2020年11月追記:改正により、自筆証書遺言についてのルールがいくつか変更されました。これにより自筆証書遺言のリスクは、従来に比べて軽減されています。)

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