遺言書には、相続が起きた後家庭裁判所での開封式である「検認」が必要なものと不要なものがあるって、知っていますか?

遺言書の基本

自筆証書遺言と、公正証書遺言

遺言書を作成する際、自分で書く「自筆証書遺言」と、公証役場でつくる「公正証書遺言」のどちらで書こうかと、悩まれる方も多いのではないでしょうか。

自筆証書遺言は、自分ひとりで作成ができ、また費用もかからないことから、「自筆証書でいいか。」と思われるかもしれません。しかし、ちょっと待ってください。

自筆証書遺言は、確かに費用も掛からず、手軽です。つまり、「遺言を残す側」からすれば、負担の少ない方法であることは、間違いありません。

しかし、一方で、実際に相続が起きた後、残された家族の安心という意味では、圧倒的に公正証書遺言の方が問題を残しにくいのです。

自筆証書遺言のデメリット

自筆証書遺言の問題点の一つは、相続発生後、「検認」が必要だという点です。検認とは、家庭裁判所で行う、遺言書の開封式のようなものだと考えてください。

残された遺言書が自筆証書遺言である場合、検認の手続きを経なければ、遺言書を故人の銀行口座の解約や不動産の名義変更など、各手続きに使う事はできません。つまり、自筆証書遺言であれば、検認の手続きは必須だということです。一方、公正証書遺言では、検認は必要ありません。

検認から派生しうる問題

では、検認が必要であることで起こりうる問題には、何があるでしょうか。

相続手続きに時間がかかる

まずは、実際に手続きに入るまでに時間がかかる、という点です。

検認をおこなう際には、突然家庭裁判所に行って、その場で手続きが完了するわけではありません。まず、申し立てに必要な書類を揃え、それから申し立てをして、更にそこから、相続人全員への通知期間を設け、そこからようやく検認が完了します。

こうした流れを踏まえると、相続が発生してから検認が完了し、実際にその遺言書を手続きに使えるようになるまでに、最低でも3カ月以上もの期間を要することも少なくありません。もちろんその間、故人の銀行口座は凍結したまま。そこからお金を引き出すことはできません。これは残された家族にとって、非常に大きな不利益です。

検認には、相続人全員が参加権をもつ

更に、検認には、たとえ遺言書に名前が挙がっていなかったとしても、相続人であれば全員が参加する権利を持ちます。そのため、自分にとって不利な内容であった場合、「これは父の字ではない。」とか、「その時父は既に認知症だったので、誰かに無理やり書かされたに違いない。」など、争いの火種になる可能性が高いのです。

もちろん、実際に本人の意思で、また本人が書いたものである、ということは、資料を集め、筆跡鑑定等を行えばいずれ判明するでしょう。しかし、こういった証明は容易ではありません。場合によっては1年以上もの期間を要する可能性もあります。この争いの間、遺言書を使った相続手続きはできないのです。

もし、この遺言書が公正証書遺言であったならば、作成時に公証人が立ち会っていますので、本人の意思に間違いないこと、また本人が直接作成したことなどの証明は容易だったはずです。

自筆証書遺言は、リスクが大きい

このように、自筆証書遺言は、作成時こそ負担が少ない方法ですが、実際に相続が起きた後のことを考えると、リスクの大きい方法と言えます。

遺言書は、「作って、終わり」では意味がありません。実際に相続が起きた後、残された家族が問題なく手続きを終えられて初めて、遺言書の役割を果たせたと言えるのではないでしょうか。

遺言書を作る際はぜひ、「誰のために作るのか、何のために作るのか。」という視点を忘れることなく、実際に手続きに使える遺言書を作成するようにしてください。

2020年11月追記:2020年7月から、自筆証書遺言の法務局での保管制度がスタートしています。この制度を使用した場合には、自筆証書遺言であっても検認は不要となりました。

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