遺言書は、法的要件だけ満たせば良い?
遺言書をつくるとき、やはり多くの人がまず気にするのは、法的要件。確かに遺言書には形式上の要件も多く存在し、その要件を満たさなければ、せっかくの遺言書が無効になってしまいます。
しかし、法的要件はあくまでも、遺言書が遺言書であるための最低限でしかありません。実際に相続が発生し、スムーズに手続きをするため、また、無用な揉め事を防ぐためには、法的要件を満たすのみでは不十分です。
ここでは、遺言書の見直しのうち、「想いはしっかり伝わるか」という点に焦点をあて、解説していきます。
遺言書は、形式も大事だが・・
遺言書はいわゆる「遺書」とは異なり、自身が亡くなった際、自身の財産を誰に渡したいかを定める法律文書です。そのため、財産や渡したい相手の特定をしっかり行うなど注意を払うポイントは多岐にわたり、この点に気を付けていくと、どうしても無機質な文書になってしまいがちです。
しかし、想いの部分をまったく無視して良いわけではありません。
「平等」な遺言書は難しい
例えば子が3人いる場合、どのように財産を分けようか考えた際、「平等にしたい」という想いはよく耳にします。しかし、少し考えてみてください。
財産が現金や預貯金のみならまだ良いのですが、自宅不動産など他の財産があった場合、2,000万円の評価額の自宅不動産と、2,000万円の預貯金は「平等」でしょうか。そもそも、自宅不動産と同じだけの預貯金があるケースは多くありません。
また、同居をして暮らしてきた子と、他県に嫁ぎ年に数回顔を出す子に、まったく同じ額の財産を残すことが、果たして「平等」なのでしょうか。
このように考えて頂くとわかると思いますが、「平等」というのは簡単なようで、実は非常に難しいのです。
その、「どうしようもない差」や、「差をつけつるに至った理由」を埋めるのが、想いの部分なのです。
遺言書を見るのは、いつなのか
のこされた人が遺言書を見るのは、通常、遺言書をつくった人が亡くなった後です。そのため、仮に遺言書の文面から誤解が生じてしまった場合、その誤解を解く方法は、残念ながら、もうありません。
ですから、誤解が生じてしまわないよう、遺言書の中に付言として、想いをのこしておくことも非常に重要なのです。
差をつけるに至った理由や、なぜ遺言書を書こうと思ったのかという理由、そして家族や大切な人への感謝の想い。こういったことを遺言書に書きしるしておくことで、残された人が遺言書を見た際の想いは、単に無機質な遺言書を見るのと、かなり違ったものになるのではないかと思います。
遺言書を作成する際は、ぜひこうした想いの部分も軽視せず、検討してみてください。
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