遺言書の見直しポイント~以後の財産の変動に対応できる内容になっているか

遺言書は、法的要件だけ満たせば良い?

遺言書をつくるとき、やはり多くの人がまず気にするのは、法的要件。確かに遺言書には形式上の要件も多く存在し、その要件を満たさなければ、せっかくの遺言書が無効になってしまいます。

しかし、法的要件はあくまでも、遺言書が遺言書であるための最低限でしかありません。実際に相続が発生し、スムーズに手続きをするため、また、無用な揉め事を防ぐためには、法的要件を満たすのみでは不十分です。

ここでは、遺言書の見直しのうち、「以後の財産変動に対応できるか」という点に焦点をあて、解説していきます。

遺言書は、作ってから使用までのタイムラグが長い

遺言書には、原則として有効期限はありません。つまり、例えば50歳のときに作成した遺言書であっても、その人が100歳で天寿を全うした場合に使用できる、ということです。

そのため、無用な書き換えを防ぐため、作成後の状況変動に対応できる記載の工夫が必要です。

一概に、「正しい書き方」があるわけではない

変動の可能性の大小や希望する結果は、その人や財産の状況によって異なりますから、一概に正しい書き方、というものがあるわけではありません。

安易に変動に対応できる記載を入れることで、本来希望しているのとは違った結果を招く遺言書になってしまう可能性もあるためです。これは、実際に遺言書を作る際に、作成のサポートをする専門家に、個別で確認してください。

預貯金の例

その中で、預貯金について、一例を挙げます。

例えば遺言者名義のすべての預貯金を遺言執行者にて換金させ、その合計から、5分の3を長男に、5分の2を長女に相続させる、という遺言書を作成するとします。

その際には、現在所有している預貯金については個別で指定を行うのが一般的です。しかし、それだけですと、仮に今後預貯金口座が増えたり、預け替えをしたり、また定期預金が満期になり口座番号が変わった際に対応できません。

そのため、預貯金口座の変動に備え、例えば上記の通り5分の3と5分の2で相続させる対象となる預貯金の指定を、「下記に記載の預貯金その他遺言者が死亡時に所有していた預貯金すべてを~」としておくことが可能です。

こうすることで、仮に預貯金口座に変動があっても、対象とすることができるようになるわけです。

(もちろん、変動分は対象としたくない、という場合もあるでしょうから、その際にはそれに応じた書き方を工夫することになります。)

遺言書作成サポートの専門家選びは慎重に

繰り返しますが、遺言書は、作成から使用までの期間が非常に長い書類です。そのため、作成時以後の変動にできるだけ対応できるよう、また、その変動により遺言書の希望する内容とずれてしまわないよう、記載方法を工夫しなければなりません。

誰に何を渡したいかを検討するのはもちろん遺言者本人なのですが、その希望を実現するにはどのような記載をすればよいのかアドバイスし、一緒に方向性を検討していくことが専門家としての大切な役割の一つです。

中には、リスクを承知で(又はリスクに気付きもせずに)そのまま遺言書を作成させてしまう専門家(?)も存在するようです。

遺言書に重大な検討もれがあった場合、通常それに気が付くのは相続が発生してしまってからです。取返しのつかない後悔をしてしまわないよう、 専門家選びは慎重にされることをお勧めします。

遺言書の作成サポート

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