遺言書の見直しポイント~遺留分について検討したか

遺言書は、法的要件だけ満たせば良い?

遺言書をつくるとき、やはり多くの人がまず気にするのは、法的要件。確かに遺言書には形式上の要件も多く存在し、その要件を満たさなければ、せっかくの遺言書が無効になってしまいます。

しかし、法的要件はあくまでも、遺言書が遺言書であるための最低限でしかありません。実際に相続が発生し、スムーズに手続きをするため、また、無用な揉め事を防ぐためには、法的要件を満たすのみでは不十分です。

ここでは、遺言書の見直しのうち、「遺留分の検討はしたか」という点に焦点をあて、解説していきます。

遺留分とは何か

遺留分とは

遺留分とは何かというと、一定の相続人に保証された、最低限の取り分のことを指します。遺留分は原則として、本来の法定相続分の2分の1です。

例えば、長男・二男の2人が相続人である場合、本来の法定相続分はそれぞれ2分の1です。遺留分はその2分の1ですから、それぞれ4分の1ということです。

遺留分を侵害するした遺言書は無効か

まず前提ですが、遺留分を侵害した遺言書が最初から無効ということではありません。もちろん、遺留分を侵害した遺言書を作成することも可能です。例えば、先の例で、「長男に全財産を相続させて、二男には一切相続させない」という以後所の作成もできる、ということです。

遺留分を侵害すると、どうなるか

では、遺留分を侵害した遺言書を作成すると、どうなるのでしょうか。

相続が起きた後、まず遺言書に従い、各財産の名義変更をします。そのうえで、二男から長男に対して、自分の遺留分を侵害しているので、その分の財産を返してという請求(「遺留分減殺請求」と言います。)がなされると、遺留分に該当する分の金銭(※)を長男から二男へ支払なければならない、ということです。

※2018年の民法改正で、原則として価格賠償に変わりました。

一方、二男から長男へ対して何らの請求がされなければ、遺留分を侵害していてもそのままで構いません。

遺留分に配慮した遺言書を

遺留分とはこのような性質ですから、遺留分を侵害した遺言書が必ずしもダメということではありません。しかし、遺留分を請求される可能性が高い状況なのであれば、最初から遺留分に該当する分は二男に相続させるという遺言書を作成したほうが、後々のトラブルを防ぐ事につながります。

また、遺留分を請求される可能性が低いと考える場合には、あえて遺留分を侵害した遺言書を作成するケースもあります。しかし、この場合であっても100%請求されないという保証はありません。そのため、遺留分を侵害した遺言書を作成する場合には、もし請求された場合に備え、長男が遺留分を支払えるだけの金銭の確保を検討する必要があります。

遺留分についても検討しておく

家族とはいえそれぞれの事情がありますから、「二男には一切相続させたくない」という場合もあるかもしれません。その場合であっても、安易に「長男に全財産を相続させる」という遺言書をつくってしまうと、後々のトラブルの原因になり、長男を困った事態にさらしてしまうことになります。

遺留分についてしっかりと認識したうえで、状況を見ながら慎重に内容を検討するようにしましょう。

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